1. リアルエステート事業 (1) 東京圏の都市型マンションに特化して競争力を磨く a) 堅調な需要が見込める東京圏 ディア・ライフ<3245>は創業以来、東京圏の単身者~DINKS向け都市型マンションを中心に不動産開発事業を展開している。人口減少期に入った日本においても、東京圏への人口流入の傾向は続いており、さらには働き方やライフスタイルの変遷もあり、好立地の都心マンションへの需要はますます強まっている。
b) 用地取得と建築発注にエリア特化の強み このような環境下、需要の堅調な東京圏に事業エリアを特化することは、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位に働いている。情報の非効率性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。
c) 専門性の高い内部人材がもう1つの強み エリア限定の強みに加え、内部に一級建築士をはじめ専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力ある価格提示を迅速に行える目利き能力が不可欠である。また技術のわかる人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。
(2) 収益不動産の購入・売却を強化 a) 高い目利き力が生かせる収益不動産投資 同社は都市型マンションを開発から手掛けることを中心に業容を拡大してきたが、さらに事業基盤を拡大し収益の多様化を図るため、既に稼働している優良な中小型収益不動産への投資も積極化している。収益不動産は、保有期間中に家賃収入を得た上で不動産サイクルを見極め、より良いイグジットのタイミングを図ることで収益の最大化を目指す。また築古物件や空室率が一時的に高くなっている物件を安く仕入れ、保有期間中にリノベーションやテナント付けを行うことによって資産価値の向上を図った上で売却するなどのノウハウや不動産運営能力を持つ同社にとって、創意工夫の余地が大きい。
b) 事業拡大、多様化の好機 都市型マンション開発で良好な実績を上げ続け高成長を遂げた同社の信用力は高い。2015年に東証1部に昇格し、財務の健全性も高いことから、金融機関とのリレーションも良好で借入余力も大きい。一般的に、新規に物件を建築するマンション開発事業に比べて既築の収益不動産事業は付加価値の創造余力が低いが、収益化のタイミングは早く、賃料収入と売却を選択できる流動性を持つといった事業特性の違いがある。収益不動産に取り組むことで、高い収益性とリスク回避を両立させ、資産効率の更なる向上を目指す。
3. アウトソーシングサービス事業 (1) 成長性が高いセルフストレージ市場 a) 第一人者である子会社パルマ セルフストレージ市場は潜在成長力の高い市場である。連結子会社で2015年に東証マザーズに上場したパルマは、この高成長が期待されるセルフストレージ事業者向けのサービスを多面的に提供しており、業界におけるサービスプロバイダーとしての第一人者である。上場を果たしたことで認知度・信用力がさらに高まったパルマは、今後もこの成長余地の大きいセルフストレージ事業のマーケットリーダーであり続けることが大いに期待される。
b) 大きな潜在需要が見込まれるセルフストレージ 「セルフストレージ」とはレンタル収納スペースの総称であり、今後個人利用の大きな拡大が見込まれる。個人利用では主に家財・日常使用頻度の低い物品の保管などに利用される。遺品の保管や、都心の狭小住空間を補完する収納空間としての需要が増えてきており、また引越し・移転や離婚時の一時的な荷物保管としてのニーズも大きい。このように個人の潜在需要が大きく見込まれるため、物件供給やサービスの普及に合わせて市場の急拡大が予想されている。セルフストレージ市場は、ここ数年毎年約10%の伸びで拡大しており、2016年度の市場規模は652.6億円が予想(出所:矢野経済研究所「レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム市場に関する調査(2016年)」)され、これに前述の伸び率が続くと2020年度には800億円に達すると推計される。
c) 遅れている日本での普及 セルフストレージの利用が既に普及している米国では10世帯に1室の利用があるのに比べ、我が国では130世帯に1室程度の供給しかないのが現状である。米国に比べ狭小な住まいが多い住宅環境に鑑みれば日本の方が高い普及率となってもおかしくなく、潜在需要は大きいと言える。