28日の日経平均は急反落。397.89円安の26173.98円(出来高概算15億5000万株)で取引を終えた。売り先行で始まり、開始直後には26500円を回復するなど下げ渋る動きも見られた。ただし、前場半ば辺りに「米アップルが新型スマートフォン「iPhone14」の増産計画を断念する」と伝わると、電子部品関連などを中心に幅広い銘柄に売りが強まり、日経平均は前引け間際に一時25938.36円まで下げ幅を広げ、約3カ月ぶりに26000円を割り込んだ。その後は心理的な節目を割り込んだことから買い戻しの動きが入ったものの、欧米中銀による積極的な利上げを背景にした世界的な景気減速懸念は拭えず、26000円を挟んでのもみ合い展開が続いた。

東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄が1000を超え、全体の過半数超を占めた。セクター別では、パルプ紙、医薬品、精密機器を除く30業種が下落し、海運、不動産、鉄鋼、小売などの下落が際立っていた。指数インパクトの大きいところでは、エーザイ<4523>、中外薬<4519>、ヤマハ<7951>、富士フイルム<4901>、塩野義<4507>がしっかりだった半面、ファーストリテ<9983>の1社で日経平均を約120円押し下げたほか、ファナック<6954>、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>、TDK<6762>が軟調。

前日の米国市場は、世界的な金融引き締め観測から米長期金利が一時、3.99%と2010年4月以来、12年ぶりの水準に上昇したことが重荷となり、NYダウは年初来安値を更新。この流れを受けて売りが先行して始まった。また、米アップルの報道をきっかけに時間外取引での米株先物が下落に転じたほか、TDK、ソニーG<6758>、京セラ<6971>といったアップルサプライヤーが総崩れとなり、日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。

本日は権利付最終売買日で、配当などの権利取りを意識した買いも散見されたが、海外短期筋による仕掛け的な売りを強めているほか、内外の機関投資家はキャッシュポジションを高めているとの声も聞かれるなど、投資家心理は大きく悪化している。このため、欧米でのインフレ動向の落ち着きを確認するまでは、積極的にリスク資産に資金を振り向けるのは難しそうで、調整局面は長引く可能性もありそうだ。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 クロージング:アップルのiPhone増産計画断念報道をネガティブ視、日経平均は一時26000円割れ