29日の欧米外為市場では、ドル・円は底堅い値動きを予想したい。米国経済の回復で前日急落の株価が持ち直し、ドルはリスクオフの買いが後退する見通し。ただ、欧州中銀(ECB)はハト派姿勢を強めるとみられ、ドル選好地合いが続きそうだ。

欧米での新型コロナウイルス感染再拡大が深刻化するなか、前日は大幅株安を手がかりにリスクオフのムードが広がりドルと円が買われた。ユーロ・ドルは1.17ドル前半に弱含み、ドル・円は104円半ばに浮上している。その後NY株式市場でダウの1000ドル近い急落を受け、円買い優勢の場面もあった。ただ、本日アジア市場は時間外取引の米株式先物がプラス圏で推移し、欧米株の反発への期待感から円買いは後退。また、日銀は金融政策決定会合で緩和的な金融政策を維持し、それを受けた円売りが主要通貨を小幅に押し上げた。

この後の海外市場では、ECBの政策方針と米国内総生産(GDP)の回復度合いが注目される。ECBは本日開催の理事会で政策金利を据え置く公算だが、域内のコロナまん延による制限措置の強化で回復の遅れが見込まれるため、目先の追加緩和を示唆する可能性があろう。一方、今晩の米7-9月期GDPは前回の記録的な下げを帳消しにする内容が予想され、株式市場で好感されやすい。欧米の株価が前日大幅安の反動で持ち直せば、ドルはリスクオフの買い後退で失速しよう。ただ、欧州通貨売りは続き、ドル選好地合いに変わりはなさそうだ。

【今日の欧米市場の予定】
・17:55 独・10月失業率(予想:6.3%、9月:6.3%)
・18:30 英・9月住宅ローン承認件数(中銀)(予想:7.61万件、8月:8.47万件)
・19:00 ユーロ圏・10月景況感指数(予想:89.6、9月:91.1)
・21:30 米・7-9月期GDP速報値(前期比年率予想:+32.0%、4-6月期:-31.4%)
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:77.0万件、前回:78.7万件)
・21:45 欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表
・22:00 独・10月消費者物価指数速報値(前年比予想:-0.3%、9月:-0.2%)
・22:30 ラガルドECB総裁会見
・23:00 米・9月中古住宅販売成約指数(前月比予想:+3.0%、8月:+8.8%)
・02:00 米財務省7年債入札



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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は底堅い値動きか、米株高で下押しも欧州通貨売りは継続