15日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想する。今晩の米中通商合意に関する署名で、短期的に懸念は緩和される見通し。ただ、今後の両国の協議は円滑に進むとは想定しにくく、円売りによるドルの上昇は限定的となりそうだ。

ドル・円は前日の取引で8カ月ぶりに心理的節目の110円台を回復したが、前日の海外市場では失速。この日発表された米国の消費者物価指数(CPI)は底堅く、拡大基調の維持を裏付けた。しかし、トランプ政権は11月大統領選まで対中関税を継続するとの報道を受け、リスクオンのムードは縮小した。米中貿易協議は、今晩の会合で第1段階の合意に関し首脳が署名する予定で、足元は懸念の後退により円買いは抑制されている。本日アジア市場では109円80銭台まで売られた後、国内勢を中心とした押し目買いで110円手前の水準に値を戻した。

とはいえ、この後の海外市場では戻りは限定的となりそうだ。トランプ政権は昨年9月の制裁第4弾の税率を来月引き下げるものの、それに先立って発動した制裁の解除は見送る方針。米中貿易協議は首脳による調印で一時休戦となる半面、市場の関心は次の局面に移ることになる。中国側は産業補助金制度などの是正には慎重とみられ、第2段階は早くも難航が予想される。そうした思惑から、前日までのリスク選好的な円売りは期待しにくい。22時半に発表されるNY連銀製造業景気指数が堅調な内容ならドルに買いは入りやすいが、上昇は限定的とみる。

【今日の欧米市場の予定】
・18:30 英・12月消費者物価指数(前年比予想:+1.5%、11月:+1.5%)
・18:30 英・12月生産者物価産出指数・産出(前年比予想:+1.0%、11月:+0.5%)
・19:00 ユーロ圏・11月鉱工業生産(前月比予想:+0.3%、10月:-0.5%)
・19:00 ユーロ圏・11月貿易収支(10月:+280億ユーロ)
・22:30 米・1月NY連銀製造業景気指数(予想:3.6、12月:3.5)
・22:30 米・12月生産者物価指数(前月比予想:+0.2%、11月:0.0%)
・01:00 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁講演(金融政策の正常化)
・01:00 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が朝食会出席
・02:00 カプラン米ダラス連銀総裁講演(NYエコノミック・クラブ)
・米中両国が第1段階の貿易合意に署名予定




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い値動きか、米中休戦も次のステージに思惑