12日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を予想する。先週の重要イベント通過で、日本の政局が材料視される見通し。森友学園との国有地取引に関する文書が書き換えられた問題で、安倍政権が責任を問われる事態も想定され、警戒感による円買いが進行しそうだ。

前週末の海外市場は、米国の保護主義や2月雇用統計の賃金の伸び悩みが嫌気される一方、米朝の緊張緩和が好感され、ドル・円は売り買いが交錯した。注目の雇用統計では、非農業部門雇用者数は予想を大幅に上回ったものの、失業率が悪化したほか平均時給は伸びが鈍化。東アジア情勢の安定化期待などでNYダウは前日比400ドル超高となりながら、ドル・円は終値ベースで107円を下回り、上値の重さが確認された。

足元では米国のインフレ期待がやや低下するなか、明日発表の2月消費者物価指数(CPI)を見極める展開となっている。もっとも、CPIが堅調で利上げペースの加速が見込まれても、「全般的にドルは上値の重さが意識されやすい」(ある市場筋)ようだ。週明けのアジア市場でも同様のムードが広がり、日経平均株価が前週末比354円高で引けたわりに円売りは進まず、ドル・円は上げ渋った。今晩の海外市場にもその傾向は受け継がれそうだ。

また、今晩は重要イベントが予定されておらず、日本の政局がクローズアップされる可能性があろう。報道によると、財務省は与党幹部に調査結果を報告し、14文書で「書き換えがあった」と改ざんを認めた。麻生財務相は本日午後の会見で辞任を否定したが、安倍首相は昨年2月、この問題に関係していた場合には「首相も国会議員も辞める」と明言しており、安倍政権の行方は現実的な材料として意識されよう。

【今日の欧米市場の予定】
・24:30 米財務省3年債入札(280億ドル)
・02:00 米財務省10年債入札(210億ドル、リオープン)
・03:00 米・2月財政収支(予想:-2160億ドル、17年2月:-1920億ドル)
・ユーロ圏財務相会合
・米国は11日から夏時間に移行





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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、森友文書書き換えで安倍政権の行方意識も