年の瀬も迫り、今年を振り返る報道も増えてきました。何といっても新型コロナに翻弄された暗黒の一年でしたが、金融市場はむしろブームに沸きました。

日米の政権トップの交代関連や、ダウ平均3万ドル超えなどもありましたが、これらと並んで市場が沸いたのは、ドアダッシュにエアビーなどの各種大型IPOではないでしょうか。

コロナ禍にも関わらず、2020年の世界のIPO金額は、近年最高レベルとなりました。上場時時価総額が10億ドル(1050億ドル)を超えるユニコーン企業は148社、100億ドルを超えるデカコーン企業は15社にも上ります。

支えているのは、中国と米国です。実は、今年の上場デカコーン銘柄の3分の2をJDドットコムやネットイーズ(網易)などの中国系企業が占めています。

一方米国も活況で、今年のIPO金額は、2番目に多かった2013年の2倍に上りました。2000年以降、米国ではIPOの減少が問題となっていましたが、これを打破すべく、発行体のコンプライアンス要件の緩和やコスト低減を行ってきました。さらに、今年8月、直接上場に関する規制が緩和され、拡大は間違いないでしょう。

来年のIPO市場も、延期になったアント・フィナンシャルを筆頭に一層活発化するでしょう。ユニコーン、デカコーンから、バイトダンスのようなヘクトコーン(1000億ドル ニアリーイコール 10兆円超)の世界に入っていくかもしれません。米国でも、ストライプやチャイムなどのフィンテック銘柄のIPO期待が高まっています。因みに、日本でも非上場ユニコーン企業は存在しますが、その数は、わずか1桁前半に留まっています。

勢いの中国と迎え撃つ米国の攻防。そして、今のところ完全に置いて行かれている日本がどう対抗するのか… 来年の新たな展開を待ちたいところです。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:12/14配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 コラム【アナリスト夜話】2021年に予想される米中IPOの攻防(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)