【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。所長の遠藤 誉教授を中心として、トランプ政権の”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、また北京郵電大学の孫 啓明教授が研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」にて配信している。

◆中国問題グローバル研究所の主要構成メンバー
所長 遠藤 誉(筑波大学名誉教授、理学博士)
研究員 アーサー・ウォルドロン(ペンシルバニア大学歴史学科国際関係学教授)
研究員 孫 啓明(北京郵電大学経済管理学院教授)

◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している遠藤 誉所長の考察を複数回に分けて配信する。

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アメリカによる中国通信機器大手、ファーウェイ(華為技術、HUAWEI)排除の動きが激しさを増していた一方で、排除理由となっている「情報を抜き取って中国政府に渡している」とか「バックドアが付いている」などに関して、アメリカは未だに証拠を出していない。そのような中、6月14日夜のテレビ朝日「報道ステーション」はハガティ駐日米国大使が声を大にして「ファーウェイは国有企業なのです」と断言する画面を報道した。そこで今回は、「ハガティ発言」の検証を通して、米中対立の根本的な原因と論理的脆弱性を考察する。

◆ハガティ大使の具体的な発言

6月14日夜9:54から始まったテレビ朝日の「報道ステーション」はハガティ大使を取材するコーナーを報道した。こちらでも観ることができる。

いつもは穏やかで上品な顔つきをしたハガティ大使が、「ファーウェイは国有企業だ」と言った時には、実に厳しい表情をした。

念のため、「国有企業」と言った前後を文字化してみると以下のようになる(ザックリと文字化したものである。NAは「ナレーション」の略。富川は当該番組のキャスター)。

NA:2週間後には大阪でG20が開催されます。注目は米中貿易摩擦に解決の糸口が見えるのかどうかです。
富川:やっぱり期待が集まるのが米中首脳会談。これは行われるのでしょうか。
ハガティ:G20で実現するかわかりませんが、大統領は近いうちに動きがあることを期待しています。中国が行動を改める時なのです。
NA:米中の対立の象徴となっているのが中国企業ファーウェイの排除です。日本でも取引を停止する動きが官民で広がっています。

富川:私はファーウェイの任CEOをインタビューしたことがあるのですが、彼はアメリカの安全保障を脅かすようなことは絶対にしていないと、スパイ行為もしていないと言っていますけれども、アメリカにとっては、それでもファーウェイというのは脅威であると?
ハガティ:中国では政府が企業から情報を得ることが法律で認められています。ファーウェイもそうした企業で安全保障の明らかな脅威です。
NA:ファーウェイ側は「政府から独立した民間企業だ」と主張していますが、大使は語気を強めて、こう断言しました。
ハガティ:ファーウェイは国有企業なのです。国有企業は自由市場を汚染し不公正な競争をします。アメリカ市場だけでなく日本やオーストラリアなど、志を同じにする国からファーウェイを排除することで、公正で不正のないオープンな市場を創ろうとしています。

以上が関係部分に関する番組内のQ&Aだ。
国有企業の部分に関して、ハガティ大使は英語で“Sate-owned enterprise”と表現しており、これは間違いなく「国有企業」の意味で、通訳ミスはない。

(この評論は6月15日に執筆)
(つづく~「駐日米国大使「ファーウェイは国有企業」発言を検証する(2)【中国問題グローバル研究所】」~)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 駐日米国大使「ファーウェイは国有企業」発言を検証する(1)【中国問題グローバル研究所】