日経平均は小幅続伸。9.60円高の21653.13円(出来高概算5億3000万株)で前場の取引を終えている。

 11日の米株式市場でNYダウは227ドル高と続伸。過去最高値を更新し、初めて27000ドル台に乗せた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が同日の上院での議会証言でも「金融政策は我々が考えていたほど緩和的ではなかった」などと述べ、利下げ期待が強まった。
本日の日経平均もこうした流れを引き継いで76円高でスタートしたが、寄り付きを高値にマイナスへ転じ、朝方には21589.83円(53.70円安)まで下落する場面があった。安川電<6506>の第1四半期決算が市場予想以上に弱い内容となり、設備投資関連株を中心に売りが出た。売り一巡後の日経平均は前日終値を挟んだもみ合いとなった。東証1部の値上がり銘柄は全体の4割ほど、対して値下がり銘柄は5割強。日経平均オプション7月物の特別清算指数
(SQ)の推定値は21742.57円となっている。

 個別では、第3四半期決算を発表したファーストリテ<9983>が売買代金トップで2%超の上昇。朝方売りが出る場面もあったが切り返した。ユニゾHD<3258>はH.I.S.<9603>による株式公開買付け(TOB)の買付価格にさや寄せする形で売買が成立している。その他売買代金上位ではソフトバンクG<9984>やソニー<6758>がしっかり。決算や業績修正を発表した銘柄ではローソン<2651>やディップ<2379>が大きく買われ、いちご<2337>が東証1部上昇率トップとなった。一方、前述の安川電が5%の下落で前場を折り返し、キーエンス
<6861>やファナック<6954>といった設備投資関連株も売られた。前日に買い気配のままストップ高比例配分となったバンナムHD<7832>だが、本日は7%超安と急反落。その他売買代金上位では村田製<6981>、東エレク<8035>、武田薬<4502>などが軟調。また、新株予約権の発行を発表したイマジカG<6879>は希薄化への懸念から売りがかさみ、東証1部下落率トップとなった。セクターでは、小売業、水産・農林業、保険業などが上昇率上位。反面、鉱業、パルプ・紙、その他製品などが下落率上位だった。

 一昨日の当欄で、「上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ売り」及び「パウエル氏の議会証言」を通過した後の自律反発の持続性について述べた。確かにパウエル氏の証言で米利下げ期待が再び盛り上がり、米国株は過去最高値を更新する展開となっているが、日本株の上昇には早くも息切れ感が出てきた印象だ。本日は日経平均オプションのSQ算出日だったが、上に幻のSQ値を残す格好となりそうで、当面の上値抵抗として意識される可能性がある。

 ファーストリテの決算が市場の期待をつなぐ良好な内容だったことは株式相場にポジティブに働くが、外需株の先駆けとして注目される安川電の決算は弱く、あく抜けを意識させるものでもなかった。米中の通商協議の先行きに不安を残し、今月下旬から3月期決算企業の決算発表が本格化することも踏まえると、外需株は当面手掛けにくく、日経平均も上値の重い展開となりそうだ。従前も述べたとおり、強い業績モメンタムが期待できる銘柄の個別物色に活路を見出したい。
(小林大純)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は小幅続伸、業績懸念などから早くも上昇に息切れ感