日経平均は3日ぶり大幅反発。217.71円高の21504.73円(出来高概算5億3000万株)で前場の取引を終えている。

 14日の米株式市場でNYダウは7ドル高と小幅に続伸。アップルなどが買われたものの、中国の2月鉱工業生産が予想を下振れしたため、世界経済への減速懸念が相場の重しとなった。貿易摩擦を巡る米中首脳会談の開催が4月以降に延期されたほか、英議会で欧州連合
(EU)離脱期限延長案が可決されたことで、今後の展開を見極めたいなどとの思惑もあった。ただ、朝方から為替相場がやや円安方向に振れたことを受け、本日の日経平均は89円高からスタート。景気刺激策に期待した中国株の値上がりなども追い風となり、前引けにかけて21521.68円(234.66円高)まで上昇する場面があった。東証1部の値上がり銘柄は全体の8割強となっている。

 個別では、任天堂<7974>が売買代金トップで2%超の上昇。東エレク<8035>や安川電<6506>が4%前後上昇するなど、半導体関連や中国関連株も買われた。その他売買代金上位ではソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、米国での投資拡大を発表したトヨタ自<7203>などがしっかり。決算発表のアスクル<2678>は急反発。また、三井ハイテク<6966>やソルクシーズ<4284>はストップ高水準で前場の取引を終えた。一方、キーエンス<6861>が軟調で、オムロン<6645>、村田製<6981>、ファーストリテ<9983>は小安い。オムロンは引けにかけて日経平均採用に伴う買い需要が発生する見込みだが、既に株価に織り込み済みとの見方から利益確定売りに押されている。また、決算がネガティブ視されたヤーマン<6630>や鎌倉新書<6184>は売りがかさみ、東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、全33業種がプラスとなり、鉱業、繊維製品、医薬品、化学、精密機器が上昇率上位だった。

 日経平均は円安や中国株高を支援材料として上げ幅を広げ、200円を超える上昇で前場を折り返した。日足チャート上では25日移動平均線がサポートとして機能しており、短期的な押し目買いの動きも誘いやすかったとみられる。さらにチャートからは、このところ日中値幅がまずまず大きい一方で、21000円台前半から半ばでこう着感を強めつつあることも見て取れる。3月期末を前に配当権利取りの動きが下値を支える一方、売り方の買い戻しに一巡感が出てきたほか、金融機関による保有株売却観測も聞かれ、上値の重しになっているようだ。目先は海外情勢に一喜一憂しつつ、現行水準で一進一退の展開が続くことが想定される。

 新興市場では東証1部への市場変更を発表したスパークスG<8739>が急伸し、本日上場のカオナビ<4435>も買いが殺到するなど、引き続き個人投資家の中小型株に対する物色意欲は強い。しかし、やはり買い一方向には傾きづらいようでマザーズ指数は続落、日経ジャスダック平均は3日ぶり反発とまちまち。短期の値幅取り狙いの個別物色で当面をしのぐ格好となりそうだ。
(小林大純)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は3日ぶり大幅反発、日中値幅は出るがこう着ムード変わらずか