中国の対米貿易黒字は拡大し続けている。8日に発表された7月の対米貿易黒字は前年同月比で6.4%拡大。全体の貿易収支では、7月の貿易黒字は280億5000万米ドル(約3兆1135億円)となり、前月の414億6000万米ドル(改定値)から大幅に縮小した。

対米貿易黒字の拡大を受け、貿易不均衡の是正を求めるトランプ米政権は対中貿易圧力を一段と強める可能性があるとみられている。中国政府も関税応酬に踏み切るため、米中貿易戦争が当面収束しない可能性が高い。

また、通貨人民元の先見通しについて、貿易戦争の激化が元安進行を加速させる恐れがあると警戒されている。なお、元の対米ドル為替レートは6月中旬から元安方向で進んでおり、7月には対米ドルで約3%下落している。

一方、中国の国家為替管理局は6日、4-6月期の経済収支と資本収支はともに黒字となり、7月末の外貨準備高も6月末から58億米ドル上昇していると報告。人民元の対米ドル為替レートは安定的に推移し、一方的な元安方向に進まないと強調した。

なお、トランプ政権発の貿易戦争に対し、国際社会では懸念する声が広がっている。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事はこのほど、米国が世界貿易システムにもたらす「関税の傷」の代償を負わねばならないと指摘した。また、アラン・グリーンスパン元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、米国による輸入関税の引き上げについて、米国民がそのツケを払うことになると批判。ほかに、カーニーイングランド銀行(中央銀行)総裁は、米国が貿易戦争の最大敗者になるとの見方を示した。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 【中国の視点】中国の対米貿易黒字:拡大継続、貿易戦争は長期化も