「CRITERION D700T」

HORIBAグループで半導体事業を担う株式会社堀場エステック(京都市南区上鳥羽鉾立町11-5、代表取締役社長:堀場 弾|以下、堀場エステック)は、次世代圧力式マスフローコントローラー「CRITERION(クライテリオン) D700T」および「CRITERION D700uF(マイクロフロー)」を2023年12月13日に発売します。
「D700T」は、チャンバー(シリコンウェハの各種加工を行う反応室)に供給するガスの切り替え時において0.1秒以下の立上がり・立下りスピード(業界最速レベル※1)を、「D700uF」では、チャンバーへのガス供給時において0.025 SCCM※2という超小流量の制御(業界最小レベル※1)をそれぞれ実現しました。これら新製品の市場投入により、先端領域の半導体製造プロセスにおける生産性向上に貢献します。
堀場エステックは、マスフローコントローラー市場で約60%※1の世界シェアを持つリーディングカンパニーとして、最高峰の技術と確かな製品力でお客様のニーズに応え続けていきます。
なお、本製品は2023年12月13日から15日まで開催される「SEMICON Japan 2023」(東京ビッグサイト)に出展します。

※1 当社調べ(2023年12月時点)
※2 「Standard Cubic Centimeter per Minute」の略で、特定の条件下における1分間あたりに流れる体積を示す。「D700uF」では、1分間に0.025ccのガスを制御することができる

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/378001/LL_img_378001_1.png
「CRITERION D700T」

【開発の背景】
様々なガスを使って基板上の回路を形成するためのエッチングや成膜といった工程では、昨今の先端半導体デバイスにおける微細化・三次元構造化といった進化に伴い、生産性や歩留まり向上へ寄与するガス制御性能のさらなる高度化が求められています。こうした声に応えるため、堀場エステックは、圧力式マスフローコントローラー「CRITERIONシリーズ」のハイエンドモデルとして「D700」を2022年に発売しました。そして、高速応答や低流量域での制御、再現性改善といった、より多様化・細分化する課題の解決に貢献するため、新たに「D700T」、「D700uF」の2機種を開発しました。


【製品特長】
1. D700T:業界最速レベル※1の高速応答を実現したCRITERIONシリーズ最上位モデル
・全流量域での0.1秒応答
CRITERIONシリーズ初のツインバルブ構造※3と新開発の制御アルゴリズムにより、立上がりから立下りまでの全制御流量域で0.1秒以下という業界最速レベル※1の高速応答を実現。これにより連続プロセスにおけるガス切り替え時間を短縮し、生産性向上へ貢献します。
・自己診断(Multi-Diagnosis)機能(特許登録済み※4)
半導体製造装置からマスフローコントローラーを取り外すこと無く、流量精度、圧力センサー、制御バルブの経時変化を自己診断することが可能になりました。異常原因を特定し対策へつなげることで、半導体製造工程におけるダウンタイムの発生を未然に防ぎます。
・Pressure Insensitive機能※5の向上
CRITERIONシリーズは、ガスを取り入れる際に発生する上流側の圧力の瞬時変動に影響を受けないPressure Insensitive機能を搭載することで、安定制御を行っています。D700Tでは、この機能を向上させ、下流側(チャンバーにガスを供給する側)における微細な圧力変動による影響も抑え、流量制御のさらなる安定化を実現しました。これによりプロセス異常や故障リスクを低減し、安定的な半導体生産体制の構築へ貢献します。
・高精度・高再現性
業界最高レベル※1の精度である±0.8%、再現性±0.15%により、半導体製造装置間の機差※6低減へつながり、歩留まり向上へ貢献します。

2. D700uF:業界最小レベル※1の超小流量の制御を実現
小流量計測に特化した部品開発と、国家標準のトレーサビリティが確保されている京都福知山テクノロジーセンターで新規開発された流量基準器により、最小0.025 SCCMの超小流量を高精度に計測制御することが可能になりました。先端メモリプロセス等の微小の流量制御が歩留まりを左右する工程において性能改善へ貢献します。あわせて、ガス使用量の抑制により環境負荷低減にも寄与します。

※3 2本のバルブを直列に配置し、主に下流側のバルブで高速な立下り制御を行う
※4 米国特許番号:US11609146、日本・中国・韓国・台湾:特許出願済み
※5 急激な圧力変動においても、安定した流量制御を可能とする最新のアルゴリズムを搭載し、各ガスラインの圧力制御機能を省く設計が可能
※6 構成部品の個体差などによって機械ごとに生じる、ごくわずかな性能誤差
情報提供元: @Press