■国士舘大学が本プロジェクトに取り組む理由 国士舘大学政経学部の教員、赤石秀之・佐藤恵・柴田怜の三氏は「食品ロス削減と食糧支援を同時に達成するフードシェアリング政策の有効性」というテーマで2023年より共同研究を行っており、自治体が事業主体として運用する「タベスケ」をフードシェアリング政策の一事例と捉え、運用実態や課題などについて当社と意見交換を重ねて来ました。 その中で「タベスケ」を利用したフードシェアリング事業における課題を学生達のゼミ活動の題材とし、仮説設定、情報収集、解決策提案を行い、そして企業や自治体からのフィードバックを受けるという流れを経験することで、主体的な学習態度や問題解決能力を効果的に身につける機会になると考えました。国士舘大学政経学部ではこのようなPBL(Project Based Learning:課題解決型学習)の機会を積極的に設けて、学生が実社会の課題に触れ、自分の学びに関心を高められるようにしていきたいと考えています。また、このような産官学連携により社会的な課題に取り組むことができ、国士舘大学としても意義のあるプロジェクトになると捉えています。
■食品ロス問題について 2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に基づく「持続可能な開発目標(SDGs)」※でも、食料廃棄の削減が重要な柱として位置付けられるなど「食品ロス」は国際的に重要視されており、日本でも2019年10月には「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行されました。そして、家庭系及び事業系の食品ロスのいずれについても2030年度までに2000年度比で半減するとの目標が定められています。 その背景には、世界の食料廃棄量が年間約13億トンにのぼり、人の消費のために生産された食料のおおよそ3分の1が廃棄されているという実情があります。また、IPCC土地関係特別報告書で人為的な温室効果ガス排出量の8-10%が食品ロスおよび排気に由来する可能性が示されたこともあり、温暖化対策の観点からもこの問題が注目されています。 日本の食品ロス量は年間522万トンであり、これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量の1.2倍に相当します。日本の食料自給率(カロリーベース)は37%にとどまっており、食料の多くを海外からの輸入に依存している中で、大量の食品ロスを出していることも問題です。 日本の食品ロスのうち事業系は275万トンで、主に規格外品、返品、売れ残り、食べ残しなどによります。このうち小売店や飲食店をはじめとする食品提供事業者から生じる規格外品、返品、売れ残り品などが「タベスケ」でアプローチする食品ロスです。 ※ Sustainable Development Goalsの略称で2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標。目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」において、食料廃棄の減少が重要な柱として位置付けられる