微生物迅速検査装置「Rapica」(左:ろ過装置、右:測定機)


微生物迅速検査装置「Rapica」


微生物迅速検査装置「Rapica」製品ロゴ


培養法による微生物検査のイメージ

株式会社堀場製作所のグループ会社で水計測事業を担う株式会社堀場アドバンスドテクノ(本社:京都府京都市南区吉祥院宮の東町2番地、代表取締役社長:堀場 弾)は、微生物迅速検査装置「Rapica(読み:ラピカ)」を4月14日に発売します。

製品中に含まれる微生物を検査して厳格な品質管理を行うことは、人々の安全で健康な暮らしを守るために欠かせない役割を担っています。本製品は、高感度ATP法※1という先進的な測定方式を用いることで、これまで数日を要していた検査にかかる時間をおよそ2.5時間へと大幅に短縮※2し、最大24検体の同時・自動測定を実現しました。製薬、飲料、再生医療など幅広い領域における品質管理プロセスの高度化に貢献し、生産効率を向上させます。

本製品の投入を通じて、HORIBAグループが中長期経営計画「MLMAP2023※3」で注力する3つのフィールド※4のうち、「バイオ/ヘルスケア」分野でのさらなるビジネス拡大をめざします。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/306183/LL_img_306183_1.jpg
微生物迅速検査装置「Rapica」(左:ろ過装置、右:測定機)

※1 ATP(Adenosine tri-phosphate):アデノシン三リン酸
※2 培養法と高感度ATP法の比較による当社調べ。別途、検体の前処理作業(ろ過など)が必要。使用方法や条件により、検査時間が異なります
※3 MLMAP(Mid-Long Term Management Plan):当社では中長期経営計画を「MLMAP」として社内浸透させています
※4 「MLMAP2023」では、メガトレンドをリードする「エネルギー/環境」「バイオ/ヘルスケア」「素材/半導体」の3つのフィールドに注力することを掲げています


【開発の背景】
Withコロナ時代とよばれる昨今、安全・衛生に対する世間の関心は大きく高まっており、製薬業界におけるワクチンやバイオ医薬品※5などの開発期間短縮に期待が寄せられています。また、人生100年時代を見据えるうえで重要とされる健康寿命やQOL(Quality of Life:生活の質)向上のため、個別化医療の普及促進や、iPS細胞などに代表される再生医療の技術発展が注目を集めています。このように多様な側面を示す時代を生きるうえでは、人々の生活を取り巻く品質管理の高度化が鍵を握っており、迅速かつ厳格な微生物検査の実現が求められていたことから、「Rapica」の開発に至りました。


【測定原理】
微生物は増殖する過程で腐食や変質、見た目の悪化など、製品の品質に影響を与える要因となるため、様々な業界において微生物検査による管理が行われています。一般的には、培地とよばれる微生物が育ちやすい環境下で、検体に含まれる微生物を増殖させて測定する「培養法」が用いられていますが、検査完了まで数日かかり手作業も多いなど、品質管理の現場では悩みを抱えていました。
こうした課題の解決に向け、「Rapica」では、「高感度ATP法」と呼ばれる先進的な検査手法を導入しました。ATP(アデノシン三リン酸)とは、エネルギーの使用や貯蔵を行うために使用され、すべての生物の細胞内に存在する物質です。このATP量を測定することで、検体に含まれる微生物の有無と汚染度合いを迅速に確認することができます。HORIBAが得意とする光学技術をはじめとしたコア・テクノロジーをATPの発光反応測定に応用し、微生物1細胞レベルのATP量を検出可能な「高感度化」を実現した独自技術です。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/306183/LL_img_306183_4.jpg
培養法による微生物検査のイメージ
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/306183/LL_img_306183_5.jpg
高感度ATP法による微生物検査のイメージ

※5 遺伝子組換え技術や細胞培養技術といったバイオテクノロジー技術を用いてつくられる医薬品。これまで治療薬のなかった病気や、従来の医薬品では効果の高い治療を行うことができなかった病気の解決に向けた貢献が期待されています
※6 ピペットなどで検体や試薬といった液体を一定容量吐出すること


【「Rapica」導入による期待効果】
1.品質管理の高度化
・全ての生物が持つATPを検出する手法により、細菌、カビ、酵母など多様な種類の微生物を測定することが可能
・微生物1細胞レベルのATP量を検出することができ、検体の汚染度合いをより緻密に把握
・検体への試薬分注から測定結果が出るまでの工程を自動化することにより、作業の技能差を無くすとともに、測定者から検体への微生物汚染リスクを低減。また、測定結果は電子データで管理することが可能

2.生産性の向上
・最大24検体を約2.5時間で測定する迅速な検査により、様々な現場での生産性向上に貢献

<生産性向上への貢献例>
適用範囲:生産設備立ち上げ時
期待効果:・製造施設の洗浄、改造後や汚染処理後の早期再開

適用範囲:受入試験、出荷試験
期待効果:・効率的な計画の策定による生産可能日程の拡大
・検査待ち在庫数の低減による倉庫管理費の圧縮

3.多種多様な分野における検査ニーズへの適用
・汎用性の高い製品特性を生かし、様々な検査シーンに対応するソリューションを展開

<展開を予定するアプリケーション例>
分野 :製薬、飲料
プロセス:出荷検査、工程管理
検体 :医薬品(注射剤など)、製薬用水、飲料

分野 :再生医療
プロセス:出荷検査、細胞培養工程
検体 :細胞培養液、生理食塩水

分野 :各種産業設備
プロセス:工程管理
検体 :市水、純水、設備洗浄水


関連するサイト
微生物迅速検査装置「Rapica」: https://www.horiba.com/rapica/
情報提供元: @Press