北極圏の刑務所で死亡したロシアの反体制派指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏の広報担当者は24日、ナワリヌイ氏の遺体が母リュドミラさんの元に引き渡されたと公表した。ロシア当局はこれまで、一貫して遺体の引き渡しを拒否してきたが、折れた形だ。葬儀についてはまだ決まっていないという。

 当局はこれまで、リュドミラさんに対し、遺体について、密葬し秘密裏に埋葬するよう要求。同意しない場合は「遺体がどうなるか分からない」「刑務所内へ埋葬する」などと迫っていた。葬儀が公開で実施された場合、政権批判の動きにつながる可能性もあるため警戒していたとみられる。

 一方、リュドミラさんは同意を拒否した上で、慣習に従った葬儀と追悼式の実施を認めるよう当局に求め、支持者らに対して、「別れを告げる機会をもってほしい」などと話していた。広報担当者は遺体の返還を受け、「家族が求めるような葬儀を実施した場合、当局の干渉があるかどうかは分からない」と説明している。

 ナワリヌイ氏の遺体を巡っては、死亡した当初から遺族らが返還を求めていたが、当局は死因が確定していないことを理由に拒否。その後、14日間の「化学検査」を実施するなどと遺族らに通告していた。広報担当者は「殺人の痕跡を隠蔽(いんぺい)するために遺体を隠している」と批判していた。【モスクワ山衛守剛】

情報提供元: 毎日新聞
記事名:「 ナワリヌイ氏の遺体、ロシア当局が母に引き渡す 葬儀は未定