世界のポップカルチャーの歴史を変えたヒップホップが米ニューヨークで生まれて50年を迎えた。「誕生日」とされる11日夜には米大リーグ・ヤンキースの本拠地ヤンキースタジアムで新旧の大物アーティストたちが一堂に集う記念ライブが開かれた。

 ヒップホップ音楽は1973年8月11日、ニューヨークの貧困街ブロンクスのアパートで開かれた小さなパーティーが始まりとされる。ジャマイカ移民のクール・ハークさんが2台のターンテーブルを使って曲をつなぎ、ディスクジョッキー(DJ)の技の基本を生み出した。このパーティーは、妹が新学期に着る服を買うための資金集めが目的だったという。

 その後、ヒップホップは、ラップやダンス、壁などに文字や絵を描くアート「グラフィティ」を総合した表現形態として発展する。米国ではロックを抜いて最も人気のある音楽ジャンルに成長した。米メディアによると、市場規模は160億ドル(2兆3200億円)に及ぶ。映画やスポーツ産業にも影響を与え、ヒップホップから生まれたダンススポーツ「ブレイキン」は、2024年のパリ・オリンピックで正式競技になる。

 ニューヨークでは50周年を記念する各種のイベントが続く。ブルックリンの公共図書館本館では、正面玄関の壁一面を地元出身の大物ラッパー、Jay-Zさんのリリック(歌詞)で覆った。ニューヨーク公共図書館では、黎明(れいめい)期のヒップホップ文化を描いた80年代の映画「ワイルドスタイル」のデザインをあしらった限定の図書貸し出しカードを発行する。

 米連邦議会は21年に、8月11日を「ヒップホップ記念日」とする決議を可決している。【ニューヨーク八田浩輔】

情報提供元: 毎日新聞
記事名:「 ヒップホップ誕生50年 始まりはNYで開かれた小さなパーティー