世界の多様な犬種を行動の傾向や性格に関連する遺伝子に注目して解析すると、10系統に分類されると、米国立ヒトゲノム研究所とペンシルベニア大の研究チームが9日、米科学誌セル電子版に発表した。このうち猟犬が5系統、牧羊犬とそり犬が1系統ずつで、使役用途に応じて選抜され、確立した犬種には体格や容姿だけでなく、行動の傾向などにも遺伝子の働きの違いがあることが確認された。 牧羊犬は脳の神経回路を形成する遺伝子群の働きが他の犬種より優れているとみられ、ボーダー・コリーが羊の群れを世話する行動には、マウスの母が子を集めて保護する際に働くのと同じ遺伝子が関与している可能性があることも分かった。行動の傾向に関連する遺伝子の犬種別の働きの違いは、人の発達障害の研究にも役立つという。 研究チームは226の犬種やオーストラリアのディンゴなどを含む約4200匹の遺伝子を解析し、犬種ごとにしつけやすさや見知らぬ人への反応などを飼い主にアンケート調査したデータと突き合わせた。 その結果、狩猟犬5系統と牧羊犬、そり犬のほか、アジア系・スピッツ、アフリカ・中東系、オオカミと犬の中間に位置するディンゴに分類できた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕米国立ヒトゲノム研究所などは犬の行動の傾向や性格に関連する遺伝子を解析し、世界の犬種を10系統に分類した(同研究所提供)