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21日の公聴会では、議事堂が襲撃される中、約3時間にわたり沈静化に動かなかったトランプ氏の不作為が焦点となった。トランプ政権で大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めたポッティンジャー氏は証言で、事件が米国の民主主義の力強さに疑問を投げ掛け、「統治システムが機能せず、米国は衰退していると主張する中国やロシアをつけ上がらせた」と警鐘を鳴らした。
特別委は先月来、8回にわたり公聴会を開催。「暴徒を駆り立て、民主主義を転覆しようとした」(トンプソン委員長)として、トランプ氏の責任追及に照準を合わせた。
中でも衝撃を与えたのは、メドウズ前大統領首席補佐官の側近として事件当日、ホワイトハウスにいたキャシディー・ハチンソン氏の証言だ。トランプ氏が武装した支持者がいたことを認識しながら、排除せず議事堂へ行進させたことや、トランプ氏自身も議事堂に向かおうとしていたことを明らかにした。
このほか一連の証言によると、大統領選で「大規模な不正があった」とするトランプ氏の主張に関し、バー前司法長官は「でたらめだ」と否定。トランプ氏の長女イバンカ氏らも、バー氏に同調していた。しかし、トランプ氏は周囲の説得に応じず、司法省や自身が敗北した州の選挙責任者らに「投票箱を押収しろ」「足りない票を探し出せ」などと圧力をかけ続けた。
トランプ氏は、自身の勝利宣言をペンス前副大統領が拒否したことにも激怒。暴徒が「ペンスを絞首刑にしろ」と叫ぶ中、「(ペンス氏には)それがふさわしい」と語ったという。
特別委は9月に公聴会を再開し、報告書をまとめる方針だ。調査で得られた証拠に基づき、トランプ氏の刑事訴追を司法省に勧告するかどうかが注目されている。 【時事通信社】
〔写真説明〕米下院特別委員会の公聴会で証言するメドウズ前大統領首席補佐官の側近キャシディー・ハチンソン氏=6月28日、ワシントン(EPA時事)