同じデザインのパターンを繰り返し、幾何学模様を作るこぎん刺し。昔から伝わる日本の伝統技法ですが、どこか北欧にあるデザインと似ていますよね。このこぎん刺しは、難しい技法もなく布や糸、針があればすぐできるので、スキマ時間にピッタリです。

今回は、100円ショップで揃えられるこぎん刺しで簡単なパネルの作り方を紹介します。刺し方を覚えれば、アクセサリーや小物にアレンジすることが可能です。また、今持っているバッグなどをこぎん刺しでオリジナルにもできるので、ぜひ挑戦してください!

こぎん刺しとは?

「こぎん刺し」とは青森県の津軽の伝統的な刺繍で、刺し子の一種になります。江戸時代、木綿を使うことが禁止され麻布しか使うことが許されなかった津軽の農民が、 厳しい冬を乗り越えるため麻布に麻糸を使い刺し子で補強 することからこぎん刺しが生まれました。

こぎん刺しの「こぎん」というのは、野良着のことを津軽地方ではこぎん(小布、小衣、小巾)と呼んでいたことが由来になります。一般的に、 藍染の麻布に白い木綿糸で模様を施すこと をこぎん刺しといいます。

こぎん刺しの種類

こぎん刺しの模様の種類は約40種類ほどあります。この 模様のことを「モドコ」 と呼び、このモドコを巧みに組み合わせることにより、様々な幾何学模様を生み出すのです。刺し子にはこぎん刺しと似ている菱刺しというのがありますが、刺す目数によって違います。

菱刺しは偶数の目に糸を刺すのに対し、 こぎん刺しは奇数の目に糸を刺します 。また、菱刺しは浅葱色の麻布に刺すことが多く、青森県南部で生まれたといいます。山形県の庄内地方では針目の細かい庄内刺し子という技法もあり、これらを三大刺し子と呼んでいます。

こぎん刺しのファブリックパネルを作ってみよう!

今回は、小さいこぎん刺しのファブリックパネルを100円ショップの商品で作ってみます。糸は自宅にあったものを使っていますが、100円ショップでも購入可能です。図案は、インターネット上で見つけたフリー画像を使用しています。慣れれば、 自分で図案を考えて刺す こともできますよ。

材料

  • こぎん用コングレス生地
  • こぎん針
  • 木綿糸
  • 木製パネル

① こぎん用コングレス生地

昔は麻布に刺すのが基本でしたが、ハンドメイドでこぎん刺しをする場合、刺し子やクロスステッチを行う場合に使われるコングレス布を使用します。 たて糸と横糸がしっかりと織られている綿の生地 で、目数を数えるにも適しています。

どうしても普通の布や目数を数えられない布にこぎん刺しをしたい場合は、 抜きキャンバス を使用します。しつけ縫いで刺したい布に抜きキャンバスを縫い付け、刺し終わったら抜きキャンバスを外すという方法もあります。デニムなどにこぎん刺しをするときに使われることが多いです。

② こぎん針

こぎん刺しに使う針は、見た目は太めの刺繍針に似ていますが、 針先が丸いのが特徴 です。これは、刺す針で織り糸を割らないためで刺し子針でも代用できます。刺繍針を使うときは針先がとんがっているので、刺すときは注意して行いましょう。

③ 木綿糸

今回は自宅にある糸を使用したので、木綿ではなく絹糸を使いました。絹糸は木綿糸よりかなり細いので、仕上がりの雰囲気が少し変わります。刺し子糸も刺繍糸も代用できますが、 こぎん刺し専用の糸はよりが堅くしっかりとした仕上がり になります。

縫い方

① 生地を裁断して図案を決める

ファブリックパネルの大きさに印をつけ、1cmのりしろを作り裁断します。生地は 伸びる方がよこ地、伸びない方をたて地 にしてください。また、生地はすぐほつれるので気になる人は、のりしろ部分にほつれ止めの接着剤をつけると糸が抜けません。

次に中心を決めるため、生地を折ります。分からなくなりそうなときは、 裏にチャコペンなどで印 をつけておきましょう。図案は、フリー素材の模様を使用しました。

② 針に糸を通し生地に刺していく

模様の真ん中から刺していきます。右利きの人は、真ん中に刺し右から左へと図案通りに刺しますが反対側も刺すため糸は長めに残しておきます。だいたい、 刺す長さプラス10cmほど残しておけば糸の始末ができる でしょう。

最後まで図案通りに刺せば完成です。糸の始末は玉結びはせず、裏の糸に絡ませるようにくぐらせれば問題ありません。もし目数を間違えたとしても、 間違えた場所まで糸を外せばすぐ修正 できます。1段刺すごとに全体の模様を確認しながら刺していくと、間違いが少ないです。

こぎん刺しをきれいに刺すポイント2選

① 糸のよりをこまめに戻す

刺し続けると、こよりになっている糸がからんでしまいます。そのまま刺し続けると完成したときの模様が不揃いで満足いくデザインにはなりません。糸のよりが気になってきたら、 よりの方向に針をまわして よりを戻してください。

木綿糸以外の絹糸などは糸がよることはほとんどありません。 糸によって性質が全然違う ので、刺しながら糸の性質を理解してくださいね。

② 糸をしごく

縫い物や編み物もそうですが、刺していくと力加減で生地が縮んでしまいます。刺し子も余計な力を入れると目数のスキマが狭くなってしまいます。 何段か刺したら刺した糸をしごくことによって縮みはなくなり 、きれいに仕上がります。

糸をしごくときは、縫い目にそって糸を優しくしごきます。そして、生地を左右斜めに引っ張ることによって生地の中のよれも解消するでしょう。刺した段数から折り返すとき、 わざと最後の糸を少し緩ませ余裕を作る ことによって、糸をしごくのが楽になるので覚えておいてください。

こぎん刺しを覚えてオリジナル雑貨を作ろう!

こぎん刺しは、 縫い物が初めての人でも簡単にできるハンドメイド です。材料も100円ショップですべて揃えることができるし、スキマ時間にピッタリといえるでしょう。こぎん刺しの技法や模様を覚えれば、ヘアゴムやコースターはすぐに作れますよ。

また、自分で幾何学模様を考案すれば、よりオリジナルの作品を作ることができます。さらに、無地のバッグにちょっとしたデザインを刺したり、糸の色や糸の種類を変えて華やかなこぎん刺しを考えたりと 自分好みのこぎん刺しを必ず見つけることができる のではないでしょうか。

実は、一度こぎん刺しは廃れていきました。木綿の普及によって、こぎん刺しをしなくても安価な服が出回ったからです。しかし、現在ハンドメイドや趣味として再注目されています。昔からの 伝統技法をどんな形であれ、後世に残していきたい ものです。


sorayou

余暇プランナー

フリーランスWebライターのsorayouです。カフェや雑貨店を渡り歩き、気になったハンドメイド作品があれば自分流で日々挑戦しています。最近は、プチプラだけど高見えするハンドメイドを模索中。休みの日には、子供たちと家にある素材をひっくり返して工作しています。色々な作品に触れていく中、新しい発見があれば、ぜひみなさんと共有していきたいです!

【ハンドメイド】津軽の伝統刺繍!100円ショップのこぎん刺しで、インテリアファブリックを作ろう

情報提供元: YOKKA
記事名:「 【ハンドメイド】津軽の伝統刺繍!100円ショップのこぎん刺しで、インテリアファブリックを作ろう