アウトドアヒストリーにおいて燦然と輝く永久定番たち。時代を超えて愛され続けるアイテムは、その誕生の瞬間そのものが革新的な出来事だった。GO OUT視点による、そんなエポックメイキングな名作をご紹介します!

01. Patagonia/RETRO-X(1993)

防風性能を高めたレトロパイルJKT。

クラシックレトロエックスジャケット ¥35200

レトロという名は、そのハイロフトなフリース素材の見た目が、1970年代にリリースしたパタゴニア初期のポリエステルパイル素材によく似ていることから懐古的に名付けられたもの。さらにその素材の裏面にフィルムをラミネートして、防風性能を高めた新型フリースにはレトロXという名が与えられた。

単独で使用しても防風性と保温性に優れるこのテクニカルなフリースジャケットは、パタゴニアの永久定番と呼ぶに相応しい。

一見しただけではわからないが、メッシュの裏地とフリースの間には、防風用のフィルム素材がラミネートされている。
ナイロン生地を使ったパッチポケットは1998年モデルから採用された。今やレトロXの意匠面における最大の特徴となった。

(問)パタゴニア日本支社 カスタマーサービス tel:0800-8887-447 www.patagonia.jp/home/

02. SIERRA DESIGNS/60/40 PARKA(1968)

防水性と通気性を兼ね備えたパーカ。

オリジナルマウンテンパーカ ¥66000

シエラデザインズを立ち上げた共同創業者の一人であり、バイク好きでもあったボブ・スワンソンが着ていた英国製モトクロス用ジャケットがデザインの起源。

当初はリーヴ&ブラザーズ社の防水生地を使っていたが、この素材は通気性に難があったため、その後アルトゥール・カーン社が製造したコットンの横糸を58%、ナイロンの縦糸を42%の比率で織り込み、雨に濡れるとコットンが膨張し防水性を高めるという、より機能性に優れる生地でアップデートし1968年に発売された。

フードのドローコードにストッパーをつけるというアイデアもこの製品からはじまった。革をくり抜いたごくシンプルなもの。
同様の素材を使った模倣品があふれたため、オリジナルであることを主張するラベルが考案された。現在もアメリカ製で販売されている。

(問)アリガインターナショナル tel:03-6659-4126 www.arg-intl.jp/

03. DANNER/DANNER LIGHT(1979)

史上初のゴアテックス搭載シューズ。

ダナーライト ¥74800

かつて米デュポン社に勤めていたロバート・ゴアは、デュポン社の樹脂素材「テフロン」を延伸した膜(メンブレン)が防水性と通気性を両立することを発見し、ゴアテックスを発明。

この1970年代に生まれた新素材はまずレインウエアに採用されたが、当時アメリカのハイキングシーンで絶大な人気を誇ったダナーがトレッキングブーツに搭載する方法を開発。通気性を高めるため側面をくり抜いてファブリックを使うというユニークな構造で世界初のゴアテックスブーツが誕生した。

アウトソールには伝統的にイタリア・ヴィブラム社の定番となる加硫ラバー製登山用ソールが採用されている。
シューレースチャームで控えめに主張するゴアテックスのロゴ。現在はゴアテックス未搭載の派生モデルも存在している。

(問)ダナー tel:03-3476-5661 jp.danner.com

04. Coleman/2-BURNER CAMP STOVE(1923)

キャンプ調理の定番となった二口コンロ。

パワーハウスツーバーナーストーブ ¥37180

燃料にガソリンを使う加圧式ランタンのレンタル事業からはじまったコールマンは、電線網が発達したことでランタンの需要が家庭用からアウトドア用にシフトしていったことで、必然的にキャンプ用品メーカーとなっていった。

その過程でランタンの技術を転用して作られた2バーナーストーブは、フォードT型の発売により自動車が大衆化し、1920年代に沸き起こったオートキャンプブームの波に乗ってベストセラーに。それから100年が経ってもほぼ同じものが販売されているのは驚異的。

ランタン同様、ポンピングによりタンクを加圧して燃料を噴射する構造。寒い時でも火力が落ちないことも美点。
タンク部分を内部に収納し、アタッシュケースのごときシェイプで運搬可能というコンセプトが大いにウケた。

(問)コールマン カスタマーサービス tel:0120-111-957 www.coleman.co.jp/

05. Helinox/CHAIR ONE(2009)

テントフレームを応用した軽量チェア。

チェアワン 各¥14960(問)

高品質かつリーズナブルなアルミ製テントフレーム用ポールで世界中で大きなシェアを獲得した韓国DAC社が母体となり、ファニチャー専門ブランドとして立ち上げたのがヘリノックス。

DACのノウハウを最大限に活かし、ショックコードによるジョイント式のポールで構成されたフレームに、座面を吊り下げるという画期的な構造で超軽量・コンパクトなチェアを作り上げた。今や多くのメーカーが模倣しているが、そのオリジナルであるチェアワンの革新性は今も色褪せてはいない。

従来のアウトドアチェアとは比較にならないコンパクトさと軽さ、快適さを兼ね備えていることが革新的だった。
巨漢の男性が座っても問題のない高い強度(耐荷重:145kg)を誇るフレーム。その技術力の高さはDACのノウハウがベースにあるからこそ。

モンベル・カスタマー・サービス tel:06-6536-5740 www.montbell.jp/

Edit/Takatoshi Akutagawa(Thunderbird Design) Photo/ Hiroyuki Yamada Styling/Takahiro Nakajima


The post 原点にして頂点。アウトドア史に残る名作列伝。vol.1 first appeared on GO OUT.

情報提供元: GO OUT
記事名:「 原点にして頂点。アウトドア史に残る名作列伝。vol.1