本国アメリカでの展開しかなかった「MSR(エムエスアール)」のガスバーナーがようやく発売される。登山やウィンタースポーツなどのエクストリームなシーンからキャンプに至るまで、ボーダーレスで使えるギアを50年以上もリリースし、アウトドア界を牽引し続けている老舗ブランドが放つ2020年の本命バーナーだ。


ファンに限らず、首を長くして発売を待っていた方も多いであろう大注目ストーブは、以前こちらの記事でも紹介し大きな話題に。使い勝手やスペックはどうなのか? 実際に使ってみた。


風を完全にシャットアウトするハイスペックバーナー。



ウィンドバーナーパーソナルストーブシステム ¥28600


インプレッションの前におさらいしておくと、これはバーナーとポットが一体になるストーブセット。


最大の特徴は、100%一次空気を使用して燃焼するラジエントバーナー機構を採用していること。これによりガスバーナーの一番の天敵である風の影響をほとんど受けることなく高火力をキープすることができる。


また、1Lの専用ポット内にバーナーヘッド、キャニスタースタンド、さらには別売りのガスカートリッジを収納することができるコンパクトさやわずか465g(ガスカートリッジを除く)という軽量性も魅力。標高の高い山にも対応するハイスペックな逸品だ。



  • 【SPEC】

  • サイズ:11.5×10.7×18.1cm

  • 重量:465g(ガスカートリッジを除く)

  • 最高出力:1,765kcal/h

  • 使用可能燃料:イソプロ

  • セット内容:本体、1.0Lのアルマイト加工された鍋(断熱グリップ付き)、ボウル、蓋、パックタオル、キャニスタースタンド


 


軽量コンパクトで携行性◎!



まずは上でも述べたとおり、専用ポット内にバーナーヘッド、キャニスタースタンド、ガスカートリッジ(別売り)を収納することができる構造が魅力。


収納サイズは約10.8×17.4cmとコンパクトになるので、バックパッキングにも◎。容量約33Lのバックパックに入れてみても、ほかに2泊分の衣類と小物を一緒に入れられるだけのスペースはとれる。



ガスカートリッジを除いて重量約465g、ガスをカートリッジを含めても約685gと軽量なので、トレッキングにはもちろん、バックパッキングスタイルでのソロキャンプでも大活躍してくれるはずだ。


 


沸騰までわずか1分半! まさにアウトドアの瞬間湯沸かし器。



水温が約10度の水600mlを、外気温15度、無風の環境下で沸かしてみたところ、1分25秒で沸騰した。


使用時の条件によって沸騰時間は多少変わるそうだが、これだけ早く沸かすことができると、調理時間を大幅に短縮できたり、ホットコーヒーなどの温かい飲み物もすぐに淹れることができる。



風の強いビーチでも試してみたところ、一貫したパフォーマンスを発揮。風速6〜7mという強風の中でも600mlの水を1分35秒でお湯を沸かすことができた。


標高の高い山の上で使えばまた沸騰時間はまた若干変わってきそうだが、それでもほとんど環境に左右されないのは非常に心強い。ビーチキャンプや磯釣り、冬キャンプなどシーンを問わずスペックを発揮してくれるぞ。



火力は1765kcal/hと決して高いとは言えないが、風をシャットアウトする構造と熱電動率の高さによってバツグンの燃焼効率を実現しているため、必要以上にエネルギーを持たせなくてもいいというロジックだ。


試しにポットをセットしない状態で火をつけてみると、ポットをセットした時に比べて燃焼が安定するまでやや時間を要したので、風防とヒートエクスチェンジャーの役割の大きさが伺える。


 


風に負けない特殊構造がカギ。



高い機能性の秘密はポットに隠された特殊構造にあり! 実はこのバーナー、専用ポットの下部が風防になっているのだ。


セットするとバーナーヘッド部分を完全に覆い隠すことができるようになっていて、さらに底面のヒートエクスチェンジャーが、効率よく熱をポットに伝えることができる画期的構造に。



そして熱伝導率の高さにはもうひとつ秘密があった。メッシュ状のバーナーヘッドには、プレッシャーレギュレーターが搭載されているため、外気温などの影響を受けることなく一貫したパフォーマンスを発揮してくれるのだ。


 


セッティングも即できる! シンプルな構造で初心者にも◎。



もちろん使用前には組み立てが必要だが、パーツは専用ポットにバーナーヘッド、キャニスタースタンド、ガスカートリッジの4点。


構造がシンプルなだけにセッティングも実に簡単。ガスカートリッジにバーナーヘッドを装着したら、ポットを乗せてスライドさせるだけで終了だ。五徳のセットなどがない分、イージーに取り扱えてストレスがない。


これなら調理をする時の億劫さもなく、サッと食事の支度に取り掛かることができる。



使用時は背が伸びるため、転倒防止に付属のキャニスタースタンドをつけて安定性をあげることが必要。ガスカートリッジの大きさに沿った溝が彫られており、着脱もいたって簡単。


MSRの純正ガスカートリッジ「イソプロ110」と「イソプロ227」の2サイズに対応可能となっている。



セットできたら火力調節つまみをひねり、ライターで着火するだけのお手軽さだ。この時、火力が強いと点火時にやけどする危険があるため、長めのライターやチャッカマンを使うことがおすすめ。


一般的なバーナーにはボタン式の点火装置を採用しているものも多いが、しばらく使っていると経年劣化して交換が必要になるため、長い目で見ればこの着火式の方がトラブルが少なく重宝する。


 


外遊び気分がアガる、ギア感あふれるルックスにも注目!



風の影響をほとんど受けることなく、スピーディーに湯を沸かすことができるバーナーではあるが、デザイン性の高さにも注目してほしい。MSRの象徴的なカラーである赤を大胆に使っているからか、アウトドアでのアクティブなシーンを連想させる。


ポットには脈々と続く山並みがドローイングで施され、登山家が創設したブランドならではのアウトドアギアらしい佇まいがフィールドによく映え、気分をアゲてくれる。


 


高機能・好デザイン! 使って納得の名作ストーブ。



シーンを選ばず使えるスペックと、使っていてテンションの上がるデザイン性の両立を高次元で実現したMSRのガスバーナー。


正直使ってみるまでは、税込み28600円というのは少々高い印象だったが、想像以上に取り扱いやすいうえ汎用性が高いことを考えれば、お世辞にもコスパが高いとは言い難いがこの価格にも納得。アウトドアライフを一段レベルの高いものにしてくれるバーナーであることは間違いない。


キャンパーの間ではかなりの話題となっているので、お求めはお早めに!




(問)モチヅキ tel:0256-32-0860 https://www.e-mot.co.jp/msr/product.asp?id=671


 


情報提供元: GO OUT
記事名:「 MSRのガスバーナーがついに発売! 完売必至の話題作は、ウワサどおりの実力だった。