将来、両親や義理の両親を扶養する必要性が生じるかもしれない。そんな可能性について考えたことはありますか。考えると不安になる人も多いはず。その時にあたふたしないように、今から知っておきたいことをファイナンシャルプランナーの稲村優貴子さんがわかりやすく解説してくれました。


ファイナンシャルプランナーの稲村優貴子です。家計相談を受けていると、自分の将来設計とともに相談されることが多いのは、親の病気や介護における金銭面での負担のこと。場合によっては扶養義務が生じることもあります。結婚している場合は夫の両親のことも気になります。自分達の生活をやりくりするだけで精一杯なのに、そもそも両親の扶養義務はあるのでしょうか?

両親の扶養は義務? 義両親の場合は?

晩婚化が進み、初めて子どもを産む「初産」の平均年齢は年々上昇しています。現在は第1子の出生年齢が平均30.6歳です(内閣府 平成28年版少子化社会対策白書による)。なお、1990年の平均は27.0歳でした。

つまり平均年齢で考えると、1990年生まれの女性が30歳で第1子を出産した場合、母親が初めておばあちゃんになる歳は57歳前後。自分の子どもが18歳になる頃、母親(子どもの祖母)は75歳です。大学進学などで子どもに一番お金がかかる時期に、自分の親の健康状態が心配になる年齢に。さらに、その頃に両親を扶養する必要性が生じるというケースも。両親の扶養は、実際のところ義務なのでしょうか。

民法では、「夫婦相互間、直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある」と規定しています。直系血族とは、自分を中心に考えて直接血のつながっている親族のことをいい、家系図を書いて自分より上に位置する両親・祖父母を「直系尊属」、下に位置する子ども・孫などを「直系卑属」といいます。ですから、自分の両親には民法上扶養義務があり、義父母には扶養義務はないことになります。



では、自分の生活で精一杯で親の面倒まで見る余裕がない場合はどうなるのでしょうか? 答えは、ずばりノー。義務だからといって自分の配偶者や子どもの自分の生活を犠牲にしてまで、他の親族の扶養をしなければいけないというものではありません。

「扶養義務」はお金による経済的扶養以外にも、面倒をみる扶養(病院への送迎、一緒に住む、介護などのサポート)があります。自分のできる範囲で協力していく必要はあるものの、義務ではあれど感情的にしたくないこともあるでしょう。例えば、自分の幼少期に両親が離婚して母親に引き取られ父親は養育費を一切支払わなかったとします。その父親が老後生活が厳しいと金銭的サポートを要求してきたとしたら、扶養義務を果たさなくてはいけないのでしょうか。そのようなケースの場合、家庭裁判所で事情を説明して手続きをすれば、扶養義務を果たさなくてよいこともあります。扶養は義務とはいえ「自分のできる範囲で」が原則なのです。

義両親の扶養義務はないなら、スルーできる?



では法律上血族ではない義理の両親の扶養はしなくてもよいのでしょうか? 長い間同居している義理の両親を遺し、夫が先に他界したケースをイメージしてみましょう。その場合「私には扶養義務はない」と出ていくことは難しいという人もいるかもしれません。「できる範囲で面倒をみてあげたい」「世間体もあるし自分がなんとかしないと」と考える人も多いでしょう。

とはいえ、嫁いびりされていたなど感情的なもつれがあるとそうは思えないものですし、まして若くして夫に先立たれた場合、結婚期間より義両親の扶養をする期間の方が長くなるケースもありえます。義両親には扶養義務はないからといってスルーできるとはいえず、義両親の子どもである夫や夫の兄弟姉妹と連携して扶養していかなくてはいけないのが事実になりがちです。

「死後離婚」という手段も

夫が亡き後、どうしても夫の一族と関わりをもちたくないという場合は「死後離婚」の手続きをするという選択肢もあります。夫と結婚したことで夫の血族(血のつながった家族)とは「戸籍上の家族」である「姻族」になります。その関係を終了させるのが「姻族関係終了届」。テレビなどでよく聞く「死後離婚」はこの手続きのことを指します。

婚姻届や離婚届のように証人は不要で、本人の意思だけで提出できます。つまり手続きはいたって簡単。しかし、いったん提出すると取り消すことができません。「姻族関係終了届」は提出期限がないのでいつでも出すことができます。夫の死亡後、時間の経過とともに夫の家族との関係性や自分の気持ちに変化が生じることもありますので、この届を出すかどうかは一時の感情で決めず慎重に考えましょう。



高齢化がすすみ、金銭面では自分の老後とともに親の扶養についても不安になってくる人が多いようです。自分の親には扶養義務がありますが、できる範囲で良いことをまずは知っておきましょう。そして義父母に対して扶養義務はないけれど、家族としてどこまでのことができるかを考えておくことも大切といえるでしょう。自分も親も幸せでいられるよう、長い視点でライフプランを考えておくと良いですね。


情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 両親・義両親の扶養はどこまでが義務?「死後離婚」の手続法も解説