本格的な冬を迎え、寒さがこたえる季節になりました。そんな中、屋外での活動や屋内で手軽に体を温めてくれる使い捨てカイロの存在はありがたいものですね。「暖かさとともに100余年」をキャッチフレーズにカイロを製造販売する桐灰化学株式会社に、おすすめの使い方を教えてもらいました。


「桐灰はる」でおなじみの同社は、1915年に創業して今年で104年目を迎えます。オフィシャルサイトやカタログに掲載しているのは約30種ですが、サイズ違いや個数、プライベートブランド製品などを含めると約100種類のカイロを製造しているといいます。国内シェア率は約30%(2017年度同社調べ)と、トップを誇っているとのこと。


カイロシーズン

マーケティング部ブランド戦略課の高階良さんに話を伺うと、「カイロシーズンは9月から始まり、3月で終わるのが通常の流れ」。よく売れるタイミングは寒さが本格化する12月から2月。同社の製品で、シーズンを通して売れるのが「桐灰はる」「桐灰ニューハンドウォーマー」、寒さが厳しくなる12月から2月に集中して売れるのが「足もと用カイロ」「めっちゃ熱いカイロ! マグマ」です。そして、年中需要があるのは「血流改善シリーズ」。通常の貼るカイロ・貼らないカイロはともに外出時から在宅時まで1日中使用され、足用カイロやマグマなどは屋外を中心に使用されているそうです。



カイロの正しい使い方

ここで、カイロの正しい使い方を紹介します。

意外? カイロは揉まないで

貼らないタイプのカイロを袋から出したとき、発熱を促そうと無意識に揉んではいませんか。「実はカイロを揉むと、発熱の性能が落ちてしまいます」と高階さん。カイロは袋の表面に小さい穴が開いており、そこから空気を取り込むことによって、中に入っている鉄が酸化して発熱する仕組みになっています。揉むとその穴が目詰まりを起こしてしまうため、空気を取り込みにくくなり、かえって発熱しなくなってしまうとのこと。貼るタイプのカイロも、揉むと中身の粉が片寄ってしまうので、同様に揉まない方がより効率的に使えます。


おすすめの使用例

様々な種類のある使い捨てカイロですが、どういった時にどのように使えば良いか、その使用例をご紹介します。

全身を温めるのに最適な場所

頭を前に倒して首の後ろを触ったとき、出っ張っている骨があります。その骨のすぐ下のくぼんだ部分「大椎(だいつい)」といわれるツボの部分に使ってみましょう。全身を効率よく温めるのに向いている場所です。でも決して、肌には直接貼らないでください(肌に直接貼るタイプをのぞきます)。



下腹部の冷えには

腕を両脇につけたとき、ひじの高さを目安に背骨の中心から指2本分外側にある「腎兪(じんゆ)」というツボを温めてみましょう。おへその下、指4本分下あたりに貼ると下腹部の冷えにも効果的だそう。



冷房からくる腰の冷えに

おしりの横、脚の付け根あたりに貼ってみましょう。冷えを感じる腰回りをポカポカと温めて、体の冷えを防いでくれます。ここで注意したいのは、ガードルなど締め付けの強い下着や衣類にカイロを貼って使用すると、「低温やけど」を起こす可能性があるということ。気を付けながら冷房対策を取りましょう。



おすすめの貼り方

高階さんがおすすめする貼り方は、下半身の冷えに効果的な「腰にカイロ3枚を貼る"うさぎ貼り"」。筋肉量の多い腰をしっかりと温めることによって、すぐに温かくなるそう。「背骨をくるむように走る大きな筋肉のある背柱起立筋を集中的に温めるので効果的です」。カイロを貼った後の並びが「うさぎ」に見えることから、この名前が付いたようです。



帰宅後のカイロを有効活用!

外出時に使ったカイロが帰宅しても温かさが残っている場合には、衣類からはがして布団の中に入れてみてください。寝るときには布団がポカポカと温まり、寒さを和らげてくれることでしょう。「低温やけど」を防ぐため、寝るときには忘れずにカイロを取り出してくださいね。



低温やけどを防ぐために

カイロを利用する際に注意したいのが「低温やけど」です。低温やけどとは、体温より高い温度のものが長時間肌に触れていた時に、赤い斑点や水疱などの症状を起こすやけどのことをいいます。低温やけどは皮膚の表面上でそれほど見られなくても、皮膚の深い部分で損傷がおよんでいる場合があります。低温やけどを防ぐために、「就寝時には使用しない」「ベルトで締め付けるなどして圧迫して使用しない」「長時間同じ部位に使用しない」ことに気をつけてくださいね。


使い終わったカイロは

使い終わったカイロ、どのように処分したらいいのかと悩んだことはありませんか。その処分方法を紹介します。

普通に捨てて大丈夫

ごみの処理区分はお住まいの地域によって異なりますが、鉄成分を含んでいるため「燃えないゴミ」の扱いがほとんどです。厳密にいうと、パック袋・外袋・本袋は食品トレーやラップ類と同じ区分、中身は鉄のフライパンや針金ハンガーなどの金属ごみと同じ区分で処理してください。



再利用できます

カイロには活性炭(冷蔵庫のにおい取りに使われている)が入っているので「消臭剤」として使えます。使い終わったカイロを靴箱や靴の中に入れておけば、消臭してくれます。また、インターネット上で散見される「使い終わったカイロを土にまく」活用については「おすすめしません」と高階さん。「内容物に塩を使用しているので、処理なしで土にまくと塩害を招く恐れがあります」とのこと。環境を汚染するようなものは入っていませんが、中身を庭や畑にまくのはやめた方がいいですね。


カイロにも最新技術が

同社では5年前、香り付きカイロを開発しました。通常のカイロは活性炭が中に入っているので、香りをつけても活性炭にすべて吸着されてしまい、保存段階で香りがしなくなってしまいます。そこを独自の香り付け技術で克服し、現在は「消臭足もとカイロ」「命の母カイロ」に香り技術を採用して販売しています。



使い捨てカイロとひとことで言っても、その種類に応じてさまざまな用途があります。手軽に使えるカイロだからこそ、正しく使って心と体を温めたいですね。


情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 使い捨てカイロ、ここに貼れば効率よく温か--意外にも揉むのはNG!