愛知県名古屋市にある「名古屋フォレストクリニック」。急増する認知症を中心に、大人の発達障害などの精神疾患や神経難病を診ているという同院。院長の河野和彦先生は、認知症について患者自身だけではなく家族のケアまで考えた独自の『コウノメソッド』を提唱し、認知症薬物療法マニュアルとして公開。今では全国にコウノメソッド実践医が142名いるという。そんな認知症治療の権威である河野先生にインタビューした。

貴院の特長を教えてください

認知症、発達障害、変性疾患のすべてを診断、治療できます。医者というのは、専門分野が大好きだと言うことを患者様にも感じていただけることが大事です。暗い表情で診察室に入ってきた患者様が大笑いしながら帰って行かれる、そんなクリニックを目指しています。

認知症の治療に注力することとなったのは、どのような背景があったのでしょうか

大学院時代に豊橋市の福祉村病院に10年通って勉強。認知症の教科書がない時代から認知症の実像をみることができ、このデータを生かすために認知症専門になろうと思い至りました。その後、名古屋大学病院をはじめとした7病院でもの忘れ外来を立ち上げました。
認知症は、人間の本質、品位がもろに出る病気だと感じています。知能検査を受けるのが嫌な方も多いので、警戒心を解くような話をするように心がけています。特に雑学が得意なので、何県の出身者、どんな苗字でもその名産品やルーツがだいたいわかります。私の話で患者様と打ち解けられたときがとても楽しいです。

認知症は治る病気なのでしょうか

認知症の半数はアルツハイマー型認知症であり、治りません。認知症は治ると言う本は正常圧水頭症、甲状腺機能低下、ビタミン欠乏など、いわゆるtreatable dementia(治療できる認知症)のことなのです。しかし患者様の高齢化時代で、アルツハイマー型認知症+正常圧水頭症とかレビー小体型認知症+側頭葉てんかんなど治せる部分を持った患者様が多くなりました。そこで重複を見落とさない医師の改善率が高くなります。

コウノメソッドについて詳しく教えてください

認知症、とくにアルツハイマー型認知症は患者様の治療満足度が最低の疾患(がんより悪い)と言われています。それは認知症のトップにいる方々のアイデアが乏しいから。逆立ちしてでも改善したいなら、保険医療以外も考える必要があります。それはサプリメントだけでなく、自費点滴療法、食事指導、物理的治療(高気圧酸素、低出力超音波)など多岐にわたります。コウノメソッドの3本柱は、①介護者保護主義、②家庭天秤法、③サプリメントの活用となっていて、①怒りっぽい患者様を穏やかにする処方を最優先し、②くすりの副作用が出ないように介護者に薬の加減を指示します。③各患者様に一番効きそうなサプリメントを提案できる経験数を持ちます。

今後の展望について教えてください

2023年12月7日から運用する高気圧酸素ルームで認知症の脳機能、介護者のご健康増進にとても期待しています。私のYouTube(チャンネル名「ドクターコウノの認知症動画」)の108回目で詳しくお話していますので、ご参照ください。
※なお、酸素ルームの電話でのお問い合わせはご遠慮ください。外来でご予約いただいております。

名古屋フォレストクリニック
院長 河野和彦
医学博士 日本老年精神医学会指導医など

昭和57年3月 近畿大学医学部卒業。
名古屋第二赤十字病院で全科ローテ―ト後、名古屋大学医学部大学院老年科博士課程修了、名古屋大学医学部老年科講師、JA愛知海南病院老年科部長、共和会共和病院老年科部長、平成21年名古屋フォレストクリニック開院、現在に至る。

情報提供元: TREND NEWS CASTER
記事名:「 認知症の治療について解説ー名古屋フォレストクリニック【インタビュー】