高尾美有が舞台初ヒロイン『パートナーズ-ありがちな結婚-』


 2014年帝京大学のミスコンで準ミスに輝板をきっかけに、2015年より大学のミス・コンテスト出場者により構成される女子大生ユニット『キャンパスクイーン』の一員として活動。卒業後、芸能界へ“就職”した女優・高尾美有(23)。


 写真家・篠山紀信が撮影した写真集『Premiere』で話題となった彼女が、4月11日より東京・中央区「築地本願寺ブディストホール」で上演する、初主演舞台『パートナーズ-ありがちな結婚-』(作・演出:児島秀樹)に挑む。開演まで1ヶ月を切った頃、初の主演舞台への意気込みとともに、女子大生タレントからヌード撮影を経験した今の考えを聞いた。


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 ーー初のヒロイン役に決まった感想から聞かせていただけますか?


 高尾 ヒロインに決まってうれしいですけど、私の父親役が渡辺裕之さんで、母親役が長谷直美さんなんです。他のキャストの方々も大先輩ばかりなので、その中でヒロインを演じさせていただくのはプレッシャーがかかりますが、こんな素晴らしい方々とお芝居ができるのは最高に幸せなことだと思いました。


 ーーどんなストーリーですか?


 高尾 私が演じる新婦のサキの結婚式の前日の話。私は新婦のサキ役なのですが、サキのお母さんとお父さんは離婚していて、私の結婚式にそれぞれ今カレと今カノを連れてくるんです。そして、新郎側のお父さんとお母さんは離婚を企んでいる。さらに、新郎の元カノまで現れるんです。果たして、結婚式は無事に開かれるのか?というお話になっています。


 ーーずいぶん、ハチャメチャなストーリーですね(笑)。高尾さんが演じる新婦にもオタク系の元カレとか出てこないんですか?


 高尾 出てこないです(笑)。サキは親が自由で癖があるので、自分がしっかりしなきゃと思っている人物なんです。甘えたい性格の私とは真逆です。私の妹がしっかりものなので、妹を役作りの参考にしています。


 ーー見どころは?


 高尾 セリフは掛け合いが多いので、スピード感が大事になってくるだろうなと思っています。また、11才の役の子から58歳の役の方まで幅広くて、ひとりひとりの個性も面白いです。「こういう子いるよね」と共感していただけるかと。見ている方を、「大丈夫?大丈夫?この先どうなるの?」と思わせたいですね。コメディ要素も多いので、幅広い年代の方に楽しんでいただける作品になると思います。


 ーー実際に、こんな結婚式だったら、どう?


 高尾 絶対にイヤですよね。全然、ありがちじゃない!女の子にとって一生に一度の出来事だから、なるべくハプニングは・・・。しかも、元カノが現れるのは嫌ですよね(笑)。


 ーーこういう新郎とだったら、結婚までいってない?


 高尾 サキは25歳で、新郎のコウタが29歳と4つ年上なのに、ちょっとポンコツなところがあるのが、サキ的にはかわいいと思っているんです。それはお父さん、お母さんの世話で免疫ができている。サキは一人っ子で、しかもママっ子ですね。(両親が離婚した時、)お父さんに付いていかず、お母さんに付いていったので。ただ、お父さんのことも全く嫌いじゃない。嫌いな時期はあったんでしょうけど、ひとつ乗り越えて、20歳になると許せてくるので、そのときに、お父さんのこともお母さんのことも大丈夫になったんだろうなと思います。


 ーーそういうサキというキャラクターの詳細な部分は、演出家さんと打ち合わせされたのですか?


 高尾 いえ、私の中で考えているサキ像です。ただ、新郎のコウタとは、どういう出会いで、なんで2人が付き合うようになったのかなどは、相手役の方と話し合って、イメージを膨らませたいと思っています。


 ーーでも、自分の中で、そこまでキャラクターを設定する作業はしんどくない?


 高尾 楽しいです。その人の人生を生きるので、上辺だけではできないですし、ちょっとしたしぐさに性格は現れるものなので、キャラクターを深く掘り下げた方がいいかなと思いました。台本の後ろにプロフィールが書いてあって、サキの好きな食べ物。嫌いな食べ物はなさそうだな。血液型とか、お父さんとお母さんをどのタイミングで許せるようになったのかは考えました。でも、ここまでつきつめるのは初めてかもしれないです。



 ーー何かきっかけがあったんですか?


 高尾 篠山紀信さんに撮影していただいた写真集『Premiere』のお仕事がきっかけでした。世界で活躍している人は、ここまで極めているんだよというのを間近で、体験させていただきました。先生だけでなく、スタイリストさん、ヘアメイクさん、スタッフさん全員が、一つの仕事に対して、どこまでも深く掘り下げていく人たちの集まりでした。現場で突然の変更があっても、すぐにそれに対応する。それは、自分の中で整理できているからだと思う。それがすごくかっこいいなと思いましたし、私もそういう仕事に対しての向き合い方をしたいなぁと思いました。そういう考え方になったのは、お恥ずかしながら、今回からかもしれないです。


 ーー世界で活躍するような一流のプロ集団の仕事の仕方に触れて変わったと?


 高尾 あれが原点にならなきゃダメなんじゃないかなと。あそこから新しい高尾美有がスタートしました。(篠山)先生に、自分でも知らない私のいいところを引き出していただいたので、そこで留まるんじゃなくて、どんどん、いろんなことを吸収して、自分も成長して、一段ずつでも階段を上っていければと思っています。


 ーーヌードになったことを後悔してないですか?


 高尾 いまはないです。人生の岐路だなと思いました。いままで、ヌードになるなんて考えたこともなかったですし、あれほど悩んだことは、全然なかったことです。今までの悩みがかわいく思えたぐらい人生で一番悩んだといっても過言ではないです。


 ーーどのぐらい悩まれました?


 高尾 半年ぐらいです。寝る前に考えて、泣いたりもしました。毎日考えて考えて、もう考えるのやめようとおもったこともあります。結局、ヌードまでして私は何がしたいんだろうと。なんで断るのか、どこに怖いと思っているのか。今後、自分は何していきたいんだろうと、突き詰めました。そもそも私の性格は常に前向きで、なににでも挑戦していくスタンスだったのに、そのときは、珍しく後ろ向きになっているなぁと。なんでこんなに後ろ向きになっているんだろう。何が怖いんだろうと、自分の中で自問自答していました。


 ーーご両親には相談しなかったんですか?


 高尾 母に相談したときに、「あなたが女優という道を選んだときから、私はそういう覚悟してたよ」と言われて、私にとっては、母の言葉が意外でした。「いやー」というかなぁとおもっていたんですね。その言葉を聞いて悔しくて涙でちゃって。母が覚悟しているのに、当の本人が覚悟してないんだろう。女優として生きていきたいなら、これはやるべきだなとの結論に至りました。


 


 ーー高尾さんとは、女子大生ユニット『キャンパスクイーン』として活動していた時に何度か取材させていただいたのですが、とにかく目立っていて、「芸能界に入りたい」オーラ全会でした(笑)


 高尾 大学4年生までにこの業界(芸能界)で生きていく何かすべがほしかったんです。自分でお金を稼げるようになっておきたかった。これでちゃんと食べて行けるようになっておきたかった。キャリアを積んでおきたかった。その必死感が全然違う形で現れちゃったんです。一生懸命さが空回りをしまくって、全然違う方向に行っちゃっていたというのはあるかなと思います。自分の中でちょっと安心できる部分が欲しかったんだと思います。


 ーー漠然とした芸能界への憧れではなく、学生時代に芸能界で生きていく礎を築きたいと?


 高尾 はい。芸能界でやっていくために、大学入学を機に上京してきたんです。物心ついたときからずっと。その職業(芸能界)しか考えたことなかったんです。ただ、大学4年になった時、「やばい。これじゃ(芸能界で)食べていけない」と、だんだん必死になっていたというかさすがに4年生になったときには、考えました。ちょっと怖くなったんです。これじゃ生きていけないなと、現実がわかったというか。それがわかって、バイトしながら芸能活動していくのか、自分にそこまでの覚悟があるのか、それで暮らしていけるのか、そこまでして芸能活動がしたいのか、自分が何がしたいのかいろいろ考え出しました。でも、わからなくなって、一度就職活動をしました。だけど、面接していても心ここにあらずで、全く入ってこなかったので、これは違うなと。一生に一度の人生だから、どうなるかわからないけど、とりあえず、芸能活動やろうと思い、決断しました。


 ーーその必死さが、とにかく目立って、「芸能界に入りたい」オーラになっていたと?


 高尾 私が一番になってやろうと考えていました。絶対、私が目立って誰かの目に留まってという必死感はありました。だから、キャンパスのみんなをライバル視していました。ですけど、今回の(篠山)先生とのお仕事で、一人ひとりが持っているものは違うし、3人で撮った写真集のときに、一人ひとりが力を出して、やっと3人の作品ができあがる。それで成り立つことなので、自分のことを一生懸命やるのは当然なんですけど、3人で合わせる。人と合わせることが大切なんだなと気が付きました。


 ーーこれからどんなことをやってみたいですか?役者、何をやりたいですか?


 高尾 自分の向き不向きはあると思うんですけど、自分の中で限度とか決めずに、やっていこうと思うんです。だけど、軸にあるのは、人間性のある女優になりたいです。


 ーー女優でも舞台、映画、テレビとありますが、特にこのジャンルというのはありますか?


 高尾 舞台は生の声が聴けると思うので、舞台をやっていけたらと思います。ただ、長期にわたって一人の人生を歩んでみたいというのはあるので、映像をやりたいなという気持ちもあります。長期にわたって一人の人間としてずっと生きていくという経験をしたことないので、もっとキャラクターを掘り下げたり、いろんな発見があると思うので、ぜひやっていきたいなと思います。


 ーー目指す女優は?


 高尾 目指す女優というか、こういうふうになりたいなぁという役者さんが、「豹変型」と言われるタイプの方です。映画『検察側の罪人』の二宮和也さんが豹変するシーンですとか、沢尻エリカさん。完全に入り込んでいるのは本当に素敵なこと。素敵な才能なんでしょうけど、そこまで役に入りこんで行ける人になりたいなと思います。


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 インタビュー内でも触れたが、記者は、高尾が女子大生ユニット『キャンパスクイーン』のメンバーだったころから、何度か取材をさせていただいた。それだけに、ヌードへの挑戦は衝撃的だった。当時の第一印象は、笑顔がかわいくて元気な女子大生だった。


 それから約2年ぶりに今回、会って、人間的に成長していたことに驚いた。サッカーでいうなら、スタンドプレーのFWタイプだったのが、篠山紀信という世界的に有名カメラマンと仕事をしたことで、スタッフも含めた超一流のプロの仕事を目の当たりにし、彼女は変わった。


 また、この大学4年生から芸能人1年生の2年間で、「芸能界への就職」と「ヌード写真集を出すか」という、人生を左右しかねない『究極の選択』を2つも経験。自分の内面と向き合ったことで、自分を冷静に客観視できるようになったのだろう。


 あのやんちゃな当時を念頭に、「周りを見ないで走っている方が楽?」と聞いたところ、「楽だったけど、楽だったのかなと今思います。やりにくさはあったし、人を敵に回すほど、無駄な時間にないなと。味方の方が絶対いいと思いません?人を敵に回すほどマイナスなことはないなと。キャンパスの頃の自分を振り返って、そこまで突っ走れていたのは、逆にすごいと思いますけどね(笑)。無理かな今の私には」と、この言葉が、全てを物語っていると思う。


 いまは、点も取れるし、視野が広がり、周りも見えて味方にパスも出せるMFになったというところか。ただ、ギラギラしていたFWとしての強引で独善的な「牙」は錆びないように研ぎ澄ませておいてほしい。こじんまりとまとまらず、スケールの大きな女優さんに育っていってほしい。


 その第一歩の舞台初ヒロイン、期待したい。


 


 ■舞台『パートナーズ』(作・演出:児島秀樹)概要


 ◆◆◆ストーリー◆◆◆


 明日は晴れの結婚式。その前夜の物語。


 結婚式前日、無事ホテルでリハーサルが終わり、息子である新郎が席を外すと、両親の顔が曇り始めた。2人は自分たちの離婚話でもめていたのだ。


 いっぽう新婦の母親は、娘の結婚式に便乗して、今カレとの結婚式を挙げようともくろんでいたが、欠席の予定だった元夫が今カノを連れてやってきた。


 さらには新郎の、サイコチックな元カノまで現れて、事態は大混乱に……


 婚礼係が右往左往する中、牧師が事態収拾にのりだすが、その牧師もワケありで。


 病める時も健やかなる時も、 死が二人を分かつまで汝は愛を誓いますか?


 果たして、明日無事に結婚式は挙げられるのだろうか―


 ドラマ「洞窟おじさん」の脚本家児島秀樹が贈る、大人のためのウェルメイド・プレイ!


 ◆◆◆出演者◆◆◆


 渡辺裕之 長谷直美 高尾美有 山内としお


 眞乃ゆりあ 竹内大気 山田太一 清水拓蔵


 松本麻希 藤田マコト 東ヶ崎恵美 


 市川愛大 富樫ありさ 寺町徹


 ■チケット料金


 S席指定券(前売のみ) ¥8,000 ※税込


 自由席券 前売¥6,000 ※税込


 当日¥6,500 ※税込


 ■チケット販売


 WEB予約(3月1日開始) https://www.quartet-online.net/ticket/partners


 電話予約 03-6264-1641


 会場:築地本願寺ブディストホール


    東京都中央区築地3-15-1 築地本願寺内第一伝道会館2F


 ■公演日程:2019年4月11日(木)~4月14日(日)


    11(木) 14時~ ・ 19時~


    12(金) 14時~ ・ 19時~


    13(土) 14時~ ・ 19時~


    14(日) 11時~ ・ 15時~


 




情報提供元: News Lounge