ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)が、2018年4月21日(土)、22日(日)、大型野外ライブ『ももクロ春の一大事2018 in東近江市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~』を滋賀県東近江市・布引運動公園陸上競技場で開催し、2日間で3万2,574人を動員した。そして、来年2019年4月20日(土)、21日(日)と日程が発表され「一緒に盛り上げてくれる地域の皆さま、声をかけて下さい」と呼びかけた。

今や、日本トップクラスの観客動員を集めるライブを行うアイドルとして人気を誇るももクロ。このももクロが、なぜ地方の屋外にわざわざ巨大な特設ステージを組んで大型ライブを開催するのだろう? こんな疑問を含め、この「春の一大事」というライブイベントについてちょっと考察をしてみた。

実は苦肉の策!?

「春の一大事」の地方開催は、昨年の埼玉県富士見市から始まった。元メンバー有安杏果の出身地で彼女がPR大使を務めていた縁から選ばれた。ライブ会場は田畑に囲まれた運動場という前代未聞の場所だった。首都圏なら、ドーム球場、横浜アリーナ、さいたまアリーナ、幕張メッセ、日産スタジアムなど、ざっと大会場が挙がるのに“なぜ異例な場所での開催に至ったのだろう?”

理由のひとつに考えられるのは、2016年に持ち上がった『劇場・ホール減少問題』だ。これは、2020年東京五輪開催に伴い、特に首都圏のライブ会場が閉鎖や改修工事に入り急激に減少したことによって、アーチストのホール争奪戦が激しくなった、などという問題。

ももクロは、夏と冬にも大型ライブを行うのが恒例だが、この影響もあってか、近年は開催地を首都圏だけでなく関西などの大都市で催すことも増えた。

2015年冬の「ももいろクリスマス」は群馬県・軽井沢の雪山で開催されている。ゲレンデにステージを組んで3DAYS開催するという前代未聞の興行で合計1万7,540人を集めたが、もしかしたらこれがきっかけで、“ライブは、やろうと思えばどこでもやれる”という経験値ができたのかもしれない。

更に、大型ライブを行う会場の選択肢も狭まりマンネリ化も囁かれた。刺激が欲しいところである。そこで、春だけは差別化して企画性も持たせた地方開催に臍を固めたのかもしれない。

ももクロだからできるコト

BUBKA(ブブカ) 2018年6月号
Fujisan.co.jpより

ただし、これがどんなアーチストでも成し得る業ではないと考える。というのも、ももクロファンは年齢性別問わず、しかも全国区の人気を誇る。更に、ライブパフォーマンスこそ絶対の魅力を放つので、ファンはとにかくステージに立つ生のももクロが見たいのだ。

だから全国どこでライブを開催しようとも集客が見込める強みがある。同様の形式で大型ライブを成功させるアーチストもいるはずだが、真似するにはかなりリスクが伴うだろう。またこれを毎年続けるパワーも必要だ。

実はウマイやり方?!

首都圏以外でライブ開催となると、機材やセットなどの運搬費用、及びスタッフの移動費宿泊費など、コストが物凄く嵩む。これを、ももクロサイドは上手な手法で抑えている。実は・・・

◯会場使用料は無料

例えば、西武ドームのコンサート1日使用料は700万円とされている。集客数は違うのでチケット収入との兼ね合いに違いはあれど、2Daysのホール使用料が無料になることでかなりのコストが抑えられる。

これが、春一ライブ地方開催の大きなポイントでありアイディアだと思われる。

この他、ももクロ運営で行うことは、ファンクラブHPによると

ももいろクローバーZの出演 (出演料はいただきません)

ライブ(および外周パーク)の制作・運営

ステージの制作および運営にかかる経費

大まかに言うとこの3点。つまり、ももクロ側が作業的にやることは首都圏でのライブイベント興行とほぼ変わらないのだ。とにかく、場所を利用させて頂き、ライブを行わせて頂くわけである。

そのかわり、ももクロは自治体のあらゆるPRに無償でお手伝いする、という約束。こんなギブアンドテイクで地域の活性化とライブ興行のバランスを取っているものと思われる。ビジネスとして、ももクロ側の収益は、チケット代、遠方客向けに組んだツアー代、そして物販が主だろう。

自治体側は、訪れたファンの出費が市全体の収益に繋がる。宿泊費、飲食費、交通費、お土産、など、財布から落とされるお金は多くのお店を潤す。ももクロとお店のコラボグッズは飛ぶように売れる。市はこれが税収に繋がる。役所でもコラボグッズを販売しており、それはそのまま利益になっているはず。

ももクロメンバーがPRに訪れた場所は「聖地」とされ、例えば「太郎坊宮」という神社で作ったももクロカラーのお守りは、2日間で約5,000個・約250万円を売り上げた(通常の半年分が2日で売れたとか)。

名神高速道路の黒丸PAでは、“ももクロ丸”というタイアップ企画を行い、何か買い物をすれば専用のスタンプチケットが貰えるキャンペーンを展開した。

ちなみに私は、沙沙貴神社を訪れ御朱印とお守りを授かった。

2日で3万人、一人1万円使ったとしても3億円の効果があるとワイドショーのコメンテイターが話していた。もちろん、ももクロ効果はこの2日間で終わることはない、今後も聖地を訪れるモノノフは後を絶たないだろう。また、ふるさと納税の数もぐんぐん上がっているそうだ。

東近江市はももクロをきっかけに、全国的な知名度はもちろん、莫大な利益を得るに違いない。ももクロも東近江市もモノノフも皆が楽しく笑顔になれれば、それが一番である。

(東近江市のももクロ聖地巡礼マップ)
(ももクロ丸PAのスタンプ、押すのに長い列が)
(佐々木神社の御朱印)

思い出

コラボはグッズだけでなくステージでも展開された。地元小学生185名による合唱でKiroroの「未来へ」など、「春」をテーマにした歌を披露。ももクロの「希望の向こうへ」ではバックコーラスで盛り上げた。新曲の「笑一笑 ~シャオイーシャオ~」では、地元キッズダンサー26人がバックで元気よく踊った。ある合唱隊の子の親は、「朝までステージに立つのが恥ずかしいとか渋っていたけど、終わった後は、楽しかったを連発していた。ももクロと手をつないで嬉しかったとずっと話していた」

こんなに大勢の人の前で歌うことなんて一生ないことかもしれない、子どもたちは一生忘れないステキな経験をしたに違いない。また、東近江市内の保育園児・幼稚園児と保護者150組300人が無料招待され、ライブを楽しんだ。

ももクロを知らなかった市民も、騒ぎに興味を持って会場の周囲にたくさん訪れた。音漏れで歌声は充分聴こえる。外からもステージの様子が伺えて、「熱気がすごい!」「あ、見えた見えた!」「やっぱ当日券買えばよかった」とはしゃぐ人が大勢いたそうだ。

東近江市民の多くにとって、今回のももクロ屋外ライブは本当に一大事だったはず。良くも悪くも思い出として心に深く刻まれたに違いない。

(できれば中に入れてあげたい土地勘のある人・笑)

余談だが、すごい田舎町にアーチストがコンサートに来ると、地元の人の印象に残りやすいのかずっと名前を憶えていてくれる。

「こんなトコに来るのはアルフィーとさだまさし以来だ」と言われるのが、ちょっとした“あるある”だという。そのうちコレに、ももクロも加わるのかもしれない(笑)。名前を憶えてくれるのはセールスになっている最高の証拠だ。

町おこしに「走れ!」

来年2019年の「春の一大事」は、4月20日(土)、21日(日)に決定し、協力いただける地域の応募を待っている。締切は5月31日(郵送にて当日消印有効)、検討中の自治体も多いのではなかろうか。

そこで、今回の東近江市開催終了後のTwitterなどの声と個人的意見も交えたモノノフの本音として「もうちょっとこうしてくれれば」というポイントを3点記す。参考になれば。

安い宿泊施設が多いこと

今回、主要駅とした近江八幡駅のほど近くに琵琶湖がある事情もあったと思うが、できれば周囲に値段も手頃(1万円以内)な宿が沢山あると嬉しい。ライブチケットは取れたけど宿が取れない人は多かった。どこかで車中泊した人も沢山いたそうだ。

◯駐車場が多いこと

近隣にコインパーキングもない場所だったのが辛かった。主催が用意した専用駐車場では収めきれない台数が実際は沢山あった。街のコインパーキングに駐車して、電車とバスで会場へ向かう人が多かったようだ・・・

◯主要駅から会場までの移動が速いこと

今回は、やはり近江八幡駅から会場までが遠くシャトルバスで30分は長かった。せめて15分くらいで。また、遠方から来る人は、チケット代と主要駅までの交通費だけでもかなりの出費。そこにもう数千円上乗せでシャトルバス代を払うのはズシリと重い負担に。

東近江市での春の一大事はキャパ1万5,000人と、ももクロにしてはこれでも少ない方だったこと。そしてあらゆるスタッフさんの対応が良かったので、大きなトラブルはなかったが、これがもし2万人以上の規模だったら、帰りのバス待ちなどで少なからずブーイングが飛んでいたように思える。

なるべくキャパシティに見合った受け皿が用意できていると嬉しい、と来年の「春の一大事」誘致を目指す方にアドバイスしたい。

埼玉県富士見市 ~ 滋賀県東近江市とつながれた笑顔のバトン、来年はどこの地域に渡されるのか。発表は年末と思われる。その模様をオリンピックの開催地発表みたいなイベントにしても面白そうな気がする。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 【ももクロ・春の一大事】2019年はどこで天使とジャンプ!!!!する?新しい地域起こしの未来へススメ!