「江戸三十三観音めぐりを趣味にしよう!」…と思い立ったことに満足してすっかり趣味を忘れること5か月半。いや、正しくは目の端に写る御朱印帳を見ないふりをしていた5か月半。仕事で嫌なことがあった某日、一丁神頼みとばかりに軽薄な気持ちで2度目の観音巡りを決意したのでした。

 

※本日は2番、3番と巡ります。

 

平成28年 某日 第二札所『清水寺』

 

最初は東京都台東区にある『清水寺(せいすいじ)』。東京メトロ田原町駅から徒歩10分とホームページにあったので、すぐに着くだろうと高を括り、かっぱ橋道具街通りを歩く。この街は調理器具や食器、そして名の通りかっぱ推し。いたるところにかっぱが。

 

※黄金のかっぱ像『かっぱ太郎』まで出現

 

熱心に太郎を撮影する外国人観光客が大勢いた。かく言う私もかっぱ群に心奪われ、10分経っても肝心の清水寺が見当たらない。地図が読めない私は路地に入ってみたり外国人観光客の後をつけてみたりなんやかんやで30分強。…これまでの怠惰な生活が寺から拒絶されているのでは? と、霊験を感じていると、そこへ地元の人っぽい老夫婦が出現。旦那さんがお年を召した方特有の空ガムを嚙みながら清水寺の方角を教えてくれ、そこから10分歩くと…なんのことはない先ほど通ったかっぱ橋道具街通り沿いに清水寺はあった。

 

気付かなかった原因としては、外見が寺っぽくなく一見、街の施設や豪華な住宅に見えたからだろう。田原町駅からくる場合、先述の『太郎像』の手前くらいに立地していることに気付く。

 

ということで、敷地に入り階段を上り納経所に入ると無人の受付が。呼び出すと住職であろう男性が現れ丁寧に本堂を案内してくれた。参拝の間に御朱印を準備してくれるとのことだったので、御本尊に合掌。受付に戻ると住職はにこやかに無教養・無信心の私に三十三観音巡りについて少し教えてくれた。

 

要約すると、観音様は33の姿があり、その全てを参拝することでお願い事が成就する。第一、第二などと札所番号があるが、便宜上、ナンバリングされているだけでめぐる順番を表したものではないそう。つまり番号関係なく立地的に近い順で巡っていいとのこと。※無学の私の解釈なので、一説には程度に受け取ってほしいです

 

ということで! 住職に教えてもらった次に近いのは第六番『清水観音堂(きよみずかんのんどう)』なのでそこへ向かった。

 

第六番『清水観音堂』

東京メトロで田原町から『清水観音堂』最寄りの駅、上野へは5分弱。上野公園の西郷隆盛像を目指すのが分かりやすい。少し日も落ち肌寒いなか西郷像にたどり着く。像後方すぐにあるのが清水観音堂。

 

 

お参りを済ませ納経所で御朱印を書いてもらう間、境内をうろちょろしていると、おみくじが目に入った。ここんとこ悪いことばかりだったので、気の流れを変えるかぁと気休めにひいてみた。

 

※……はい、でました『凶』!

 

踏んだり蹴ったり、軽い絶望と当たり所の無い怒りがこみ上げる。とはいえ、胸に押し鎮めることしか術もなく(この死体蹴りのような仕打ち…、おみくじなんてひくんじゃなかった…。お参りして意味があるのか?)のもやもやを抱え境内を出る階段を降りる。

 

すると、そこに年端もいかぬ女の子4人が路上パフォーマンスをしていた。あの『民謡ガールズ』である!

 

和服をモチーフにした衣装に身を包み、みきさんの三線の音色に合わせ少女たちがパフォーマンスする、あの民謡ガールズである。寒風吹きすさぶ中、懸命な歌や踊りを披露し観客からも拍手や声援が送られる。彼女らのすごい所は、彼女らと観客の間を人や自転車がびゅんびゅん通り過ぎるのに心折れずやり通すところ。初めて拝見しましたが素晴らしいパフォーマンスを堪能しました。

 

さて、気持ちもあたらに上野公園のゆるやかな坂を南方面出口にくだってゆくと、歴代国民栄誉賞受賞者の手形のモニュメントがズラリと並んでいた。

 

長年東京に住んでいるけど知らなかったなぁ…と眺めていると、外国人男性があるひとつの手形をあらゆる角度から憑りつかれたようにまじまじと見ている。時折、大事そうにその手形に手をはめてみたり、最後は敬意を表し軽くお辞儀をして去っていった。どの受賞者かと覗いてみると…

 

衣笠祥雄氏

鉄人である。

 

世界の王貞治氏、柔道金メダリスト山下泰裕氏、昭和の大横綱・千代の富士ら世界に通ずる名前を差し置き、鉄人である。もちろん衣笠氏もかつては連続試合出場世界記録保持者であり日本人が誇るアスリートのひとり、全く問題ない。ただ、…ただ、なぜ鉄人に惹かれたのか? 

 

もやもやしたまま、この日の巡りを終えた。その三観音につづく…

 

 

 

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 不信心だけれども江戸三十三観音めぐる。男の御朱印集めの旅~その二~