12⽉10⽇から12⽉17⽇にかけて、東京「BANK GALLERY」にて、芸術家・草場⼀壽氏の新作展「〜Rainbow Dragon &Dragon Ball〜虹⿓と宝珠」が開催される。個展に先駆けて、12月9日に報道陣向けのプレスレクチャー会が「BANK GALLERY」で行われた。

草場氏は、30年超にわたって、有⽥焼の伝統技法を絵画に⽤いた唯⼀無⼆の芸術“陶彩画”を完成させた芸術家。約1年ぶりとなる“陶彩画”の個展では、来年の2024年の⼲⽀である「⾠」にかけて、新作『富⼠に虹⿓〜希望の地へ〜』や『虹⿓〜宝珠を得たり〜』をはじめ、作家がこれまでに描き続けてきた⿓をモチーフにした作品を多数展⽰している。

普通の焼き物は多くて焼き入れは3回程度。しかし“陶彩画”は、平均で15回ぐらい焼くことで様々な色を表現しているとのこと。700度から1300度の温度で焼いて細かな色の変化を付けており、例えば、700度では茶色、800度で赤色などを表現している。

数十年に及ぶ試行錯誤の末編み出したとのことで、“陶彩画”を始めた当初は3、4種類しか色を出せなかったそう。絵の具であれば赤と白を混ぜればピンク色を作り上げることができるが、“陶彩画”は普通の絵の具とは違う法則で色を表現するというわけだ。

“陶彩画”を始めたキッカケについて訊かれると、草場氏は「ローマ帝国の時代に作られた『ローマングラス』からインスピレーションを受けた」と回答。この「ローマングラス」は赤や緑、虹色などさまざまな発色をするガラス製品のこと。草場氏はその魅力に惹かれ2000万円をかけて「ローマングラス」を購入し、通常の焼き物では使用されることのない酸化チタン鉱物を用いて、“陶彩画”を完成させた。

この度、個展で展示される“陶彩画”はすべて手作りのもの。テクノロジーが日進月歩で成長していくなか、敢えてひとりの人間が作品を創り上げることは、自分自身の力に成ることに直結していると草場氏。テクノロジーがより高度になればなるほど、手仕事の素晴らしさを感じられるという。

個展では、龍をメインにした作品が多数展示されていた。草場氏曰く「全国を周って思ったのは、コロナ渦で元気がないなということ。人の心を元気に上向きに変える力が芸術にあるのではないかなと思う。偉そうな言い方ですが、来年へのわたしも含めてみなさんも上向きな状況を作るべく展示した」と、今回の個展を開催するに至った経緯を説明していただいた。

2024年は、甲辰(きのえたつ)の年。「甲」は物事の始まりと古来より考えられている。一方の「辰」は植物が発芽し、しっかりと成長する年であることから、勢いや成功の1年と捉えられている。つまり「甲辰」は、準備してきたことや新しいことを始めて成功する縁起のよい年とされているのだ。草場氏は、「架空の動物に見えるが自然の摂理は、龍のエネルギーと考えている。大自然のエネルギーを一言で表すなら『龍』。血流も流体という意味で考えている」といった理由から「龍」の展示に決めたそう。

プレスレクチャーでは、数ある展示物の中から幾つかの作品を草場氏ご本人に解説してもらった。空を舞う龍を描いた「虹⿓~宝珠を得たり~」と、富士山の上空に虹色の龍が飛んでいる様子を表現した「富⼠に虹⿓~希望の地へ」は、見る角度によって色が変わるというもの。コガネムシや孔雀の羽根など物質の表面がさまざまな色に見えるといった現象とは全く別の理屈で、光の屈折によって発色が変わるのだそう。

ことし完成したばかりの「龍聖母」は、ニュージーランドの歴史ある部族「ワイタハ族」と呼ばれる⿓族に語り継がれている‟⼦守歌“を基に作り上げた一作。草場氏は最期に聞きたい曲を聴くボランティアで「もっとやりたいことにチャレンジすればよかった」と言った声を訊くことが多いのだとか。その経験から、⾒る者に「あなたにとっていのちとは?」と疑問を問いかけるような作品となっている。

個展では龍だけではなく、日本の神を描いた「神話シリーズ」や、「夢」や「⼤好き」「⽬覚め」といった連作なども展示。草場氏しか表現できない、唯一無二の“陶彩画”をさまざまなテーマや角度から見ることで、自分の人生を振り返るキッカケになるかもしれない。ぜひ、みなさんも足を運んでみてはいかがだろうか。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 草場⼀壽氏の唯一無二“陶彩画”を鑑賞できる「〜Rainbow Dragon &Dragon Ball〜虹⿓と宝珠」開催、龍と光の幻想的な個展