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パリ五輪出場へ向けた大事な大会、2022年度スケートボード世界選手権・ストリート種目の決勝が2月5日にUAE(アラブ首長国連邦)シャルジャに建設されたスケートパークで開催され、男子はフランスのオーレリアン・ジローが優勝、日本勢は小野寺吟雲(12歳)が3位、白井空良(21歳)が8位に入賞した。

女子の優勝はブラジルのライッサ・レアウ(15歳)、日本勢では西矢椛(15歳)が3位、赤間凛音(14歳)が4位、中山楓奈(17歳)が5位と続き、2024年のパリ五輪へ向けて、大きな一歩を掴んだ。

今大会は2024年のパリ五輪予選を兼ねており、オリンピックランキングのポイントが加算される最も重要な大会。

世界各国から総勢168名が参戦した男子のオープン予選では、東京五輪金メダリストの堀米雄斗が32位で予選落ちしてしまう、波乱の展開に。

※オープン予選は45秒間コース内を自由に滑走するラン2本の内、高い方で採点され、28位以上が準々決勝進出。

堀米は1本目のランでミスがあったものの、2本目のランではミス1つない滑りを見せたが、予選という事もあり難易度を抑えたトリックチョイスが仇となり、まさかの予選敗退。

しかし、それだけ世界各国の代表スケーター達全体のレベルが上がっているという事がうかがえる。

【パリ五輪スケートボード・ストリートのルール】

 
 
 
 
 
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45秒間自由にコース内を滑るランを2本と、一つのセクションで1発技を行う、ベストトリックを5本行う事自体は変わらないが、前回の東京五輪と違う点はラン2本中、どちらか1本は必ず得点にカウントされるという事。

つまり、東京五輪の時のようにランで大きくつまずいても、ベストトリックで大逆転、という事はかなり難しくなった。

ランのベストスコア1本と、ベストトリックの上位2本の合計得点で順位が決まり、採点は前回の東京五輪までは1トライにつき10点満点だったが、今回からは100点満点で、小数点以下2点まで(最高得点は300.00点)となる。

ジャッジの基準は、技の難易度と多様性、技の出来栄え、コース全体を流れるように使い、様々なセクションを使えているか等となる。

【マシーンのように精密な動きと並外れた集中力・小野寺吟雲】

 
 
 
 
 
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男子決勝は2本のランを終え、2本目のベストトリックが終わった時点で、クリス・ジョスリン、ジャガー・イートン、グスタボ・リベイロ、オーレリアン・ジロー、小野寺吟雲の5人誰が優勝してもおかしくない展開に突入する。

クリス・ジョスリンがバンクからハバと呼ばれるセクション1つを飛び越えるほどのぶっ飛びバックサイド180キックフリップで90.99点を獲得。

続いて2本目ではオーレリアン・ジローが同じく、バンクからハバ越えのぶっ飛びハードフリップバックサイド180で93.36点を叩き出す。

ぶっ飛び系のハンマートリック(大きなセクションなどで行う難易度の高い技)が得意なクリス・ジョスリンは今大会好調な上、バンクからの飛び出しトリックで高得点をジャッジが出していたので、優勝も狙える展開に見えたが、残る4本すべてでバックサイドビッグスピンをメイクする事が出来ず、残念ながら7位に終わった。

こういったスケーターが活躍してくれると大会の見方も幅が広がり、さらに面白くなる。

そんな中、4本目のベストトリックでダブルセットのステア(階段)をバックサイド360キックフリップ(91.48点)で攻略したオーレリアン・ジローが一気に首位に。

ベストトリックで唯一2本の90点台を出したオーレリアンがそのまま1位をキープして世界選手権を制した。

この世界最高峰の大混戦に日本人で食い込んだのが、12歳の小野寺吟雲だった。

小野寺選手はランを87点で終えると4位でベストトリックに臨む。

以下、ベストトリック()内はセクション名

1本目(ハンドレール)キックフリップフロントサイドブラントスライド ビッグスピンアウトを決め、88.04点を獲得

2本目(ハンドレール)フロントサイドブラントスライド バリアルキックフリップアウトを決め、85.58点を獲得。

3本目(ハンドレール)フロントサイドブラントスライド ビッグスピンキックフリップアウトをミス

4本目(ハンドレール)フロントサイドブラントスライド ビッグスピンキックフリップアウトを決め、88.00点を獲得

5本目(ハンドレール)キックフリップフロントサイドブラントスライドからおそらくビッグスピンキックフリップアウトを狙うもミス。

※キックフリップは縦に1回転させる技。フロントサイドブラントスライドはレールをまたぐように飛び乗り、ボードの後ろ側をかけて滑り降りる技。バリアルキックフリップは空中でボードを横に回転させながら縦にも1回転させる技。ビッグスピンキックフリップは空中で自分が回転しつつ、ボードをさらに横に回転させながら縦にも1回転させる技。

 

こうして見ると、ベストトリックは全てフロントサイドブラントスライドが軸に構成されている事がわかる。

しかし彼のすごい所は、その全てでボードを回転させながらレールに乗るか、ボードを回転させながらレールから降りている所。

これには、精密なデッキコントロールが不可欠なのはもちろんだが、その集中力にも驚愕である。

【簡単そう?に見える動きからうかがえるスキルの高さ・西矢椛】

 
 
 
 
 
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よくスケートボードを見た一般の人が「ボードが足にくっついて見える」と表現する事があるが、スケートボードをやっている人間から見ても「ボードが足にくっついて見える」のが西矢選手ではないだろうか。

そのくらい全ての技がスタイリッシュで洗練されていて、見る度に毎回驚かされる。

ランでは誰一人攻めなかった、バンクからのハバレッジと呼ばれるセクションをバックサイドスミスグラインドという難易度の高い技で攻略しており、スキルの高さを見せつけた結果、86.81点を獲得し、首位でベストトリックに臨む。

 

以下、ベストトリック()内はセクション名

1本目(バンクからレッジ)Kグラインドからノーリーヒールフリップアウトを狙うもミス。

2本目(バンクからレッジ)Kグラインド ノーリーヒールフリップを決め、84.05点を獲得。

3本目(ハンドレール)空中でボードを横に270度回転させてからレールを滑り降りる技、ビッグスピンフロントサイドボードスライドを決め、82.44点を獲得。

4本目(ハンドレール)ビッグスピンフリップ フロントサイドボードスライドをミス。

5本目(ハンドレール)続けてビッグスピンフリップ フロントサイドボードスライドを狙うがミス。

最後2本のトリックを決めていたら、2位もしくは優勝も狙えた高難度トリックだっただけに見ている側としては残念だったが、堂々3位で大会を終えた。

2022年度ストリート世界選手権、男女決勝の映像

(YouTube:https://www.youtube.com/live/eHgkwDcJiHQ?feature=share)

【スケートボード世界選手権2022ストリート・男子リザルト】

 
 
 
 
 
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1位 オーレリアン・ジロー(フランス) -269.33

2位 グスタボ・リベイロ(ポルトガル) -267.38

3位 小野寺 吟雲(日本) -263.04

4位 ケルビン・ホフラー(ブラジル) -248.59

5位 リチャード・ターリー(スロバキア) -245.42

6位 ジャガー・イートン(アメリカ) -179.15

7位 クリス・ジョスリン(アメリカ) -179.08

8位 白井 空良(日本) -155.78

 

【スケートボード世界選手権2022ストリート・女子リザルト】

 
 
 
 
 
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1位 ライッサ・レアウ(ブラジル) -255.58

2位 クロエ・コベル(オーストラリア) -253.51

3位 西矢 椛(日本) -253.30

4位 赤間 凛音(日本) -251.91

5位 中山 楓奈(日本) -240.79

6位 ガブリエラ・マゼット(ブラジル) -221.45

7位 ページ・ハイン(アメリカ) -211.71

8位 パメラ・ロザ(ブラジル) -126.52

 

文・小嶋勝美 

スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 【スケートボード世界選手権・ストリート】マシーンのような精密さと集中力!12歳・小野寺吟雲&スキルの高さを見せた西矢椛が3位で表彰台に