スティーブン・キングの原作をもとに、心に闇を抱えた家族を狙う恐ろしい“何か”を描く映画『ブギーマン』が8月18日より公開。撮影監督が本作の“光と闇”の演出について語ったコメントと、そのこだわりを感じられる本編映像が解禁された。

本作で監督を務めたのは、『ズーム 見えない参加者』『DASHCAM ダッシュカム』のロブ・サヴェッジ。撮影監督を務めたイーライ・ボーンは、サヴェッジ監督がレンズの使い方によって観客の抱く印象に効果を与えられることをしっかり理解していることを知り、興奮を覚えたと語る。「ロブも私も、カメラワークとレンズの使い方のニュアンスに強い興味を持っています。彼は生粋の映画オタクです。様々な映画の照明とかカメラレンズとか画面構成とかの資料用の写真が500枚以上入ったフォルダを持っています」

ボーンによると、映像においてサヴェッジ監督が特に重視していたのは、ドラマティックなコントラストを持たせた照明、配置構成を使ったフレーミング、ネガティブ・スペースの使い方の三点だった。『ブギーマン』には、当然ながら“暗闇”が多く使われている。しかし、その奥行きの中間地点を映像的に濁ることなく影側に属するものにすることが重要だった。

「ホラー映画で必要とされる照明のコントロール・レベルは、他のジャンルのそれよりもトリッキーです。暗闇になるギリギリのところまで攻め込まなければいけませんからね。暗いシーンに明るいエリアを取り入れることが大切になってきます。たとえば窓とかキャンドルの火とか常夜灯によって、フレームにコントラストが生まれます。顔が見えるようにすることも大切ですが、フルに照明を当てられた顔であってはならない場合もありますからね。なので、暗い映像の全体が濁っているのではなく、そこに明るいポイントを置くことが重要なのです」

そう語るボーンは、暗いフレームにおける光の使い方は、レンブラント・ファン・レインやミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョといった“光の魔術師”とも呼ばれる往年の名画家の絵画から影響を受けたと明かす。「柔らかい光は人や物体に当てると素晴らしい見た目になりますが、それをコントロールするのは得てして難しいものです。なぜなら、光というのは柔らかくした途端に様々な方向にこぼれ出てしまうものだからです。レンブラントの絵画が見ていて心地良いのは、複数の人間を光ひとつで適切な横からのアングルで照らしているからです。それを実写でやるのはかなり難しいのですが、それでも最近は容易になりつつあります」。

照明テクノロジーの進化により革命を起こしたとされるバッテリー式のLEDユニットにより、「とてもシンプルに、そして画に害を及ぼすことなく、フレームに絵を描くことができるようになりました」と語る、印象的な照明が効果的な映像が完成した。

併せて解禁された本編映像は、ボーンが語った“暗闇における光の使い方”のこだわりが伝わる映像だ。暗い部屋の中で無数のキャンドルが灯され、セイディととある女性をかすかに照らしている。セイディはその女性に、自分たちに忍び寄る“ブギーマン”について話を聞いており、女性はブギーマンの恐ろしい実態を語っている。静かな会話シーンながら、闇から今にも“何か”が飛び出してきそうな緊張感のあるシーンとなっている。


動画:ホラー映画『ブギーマン』の“光と闇”の演出にこだわった本編映像

『ブギーマン』
8月18日(金)全国劇場にて公開

© 2023 20th Century Studios. 


情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 撮影は名画を参考に ホラー映画『ブギーマン』の“光と闇”の演出にこだわった本編映像[ホラー通信]