ターミナル直結の大規模複合施設、羽田エアポートガーデンがオープン。全く飛行機に乗る予定などないですが、疑似旅行気分を味わいたくて行ってきました。

羽田空港第3ターミナルに到着すると、空港なので当たり前ですがスーツケースを持った人が多数行き交っていて、海外に全然行けてない身としては羨望の気持ちがわいてきます。奥に進むと、ラグジュアリーな雰囲気の羽田エアポートガーデンのエントランスが。この先には住友不動産グループの商業施設と、ホテル「ヴィラフォンテーヌプレミア羽田空港」などがあります。

空港からホテルへの長い通路の片側にはショップが連なっていました。和雑貨の「くろちく」や、高級傘のお店「福井洋傘」、扇子の「白竹堂」など高級感のある日本土産が目に付きます。海外から着た富裕層の観光客目線でショッピングすると楽しいかもしれません。高級傘のお店には数万円の和傘から、132万円の奄美大島紬の超高級傘まで。電車の中で置き忘れたくない、というか、そもそもこういう傘を買う人は電車に乗らないのかもしれません。

Bakery MIYABIでは、和服の店員が接客していたり、インバウンド客をターゲットに入れているようでした。「茂助だんご」「くらづくり本舗」「京都 茶寮翠泉」など和菓子系が多いです。埼玉出身としては「くらづくり本舗」が海外の人に川越の魅力を知らしめるきっかけになればと思います。

こちらの商業ゾーンはかなり広大で、羽田参道というエリアに入ると、生活雑貨、バッグ、箸、Tシャツ、化粧品、帽子、キャラクター雑貨などのお店が並んでいました。さらに、旅行先に持っていきたい品物を揃えた15店舗が集まるエリア、HANEDA COLLECTIONも。Tシャツと土産品のお店「T-shirts & Souvenirs SPARKLE」は、小池都知事の似顔絵Tシャツや、寿司や浮世絵プリントの靴下などが売られていて、洗練されすぎていないカオス感が渦巻いていました。東京の魅力を伝える上でマストなお店です。

「TOBI・BITO SWEETS TOKYO」というお土産店は、全国のご当地お茶漬けやご当地柿の種、ご当地キットカット、ポテチなどが揃っていました。別に飛行機に乗る予定がなくても、地方土産の買い物だけでも楽しいですが、時折スーツケースを持っている人とすれ違うと、羨ましさが湧き上がります。

空港なので、今日離発着する飛行機の電光掲示板も設置されています。この日の出発便はアトランタ、ソウル、サンフランシスコ、ホノルル、ロサンゼルス、ヘルシンキ……。ホノルル行きが夜に3便もあって嫉妬と羨望が募ります。コロナがやや落ち着いて、海外と自由に行き来できるようになりつつある現状を知ることができました。

デッキに出ると、時々離発着する飛行機が見えてテンションが高まります。

そしてレストランエリアには、うどんや寿司、うなぎ、カレー、焼肉など13店舗もの飲食店が並んでいます。最初のゾーンに少しベンチやカフェがありますが,奥に行くと座るところやちょっと休憩できる手軽なカフェが少なく、歩き疲れ感が。吹き抜けの広大なスペースがあっても椅子は見当たりません。これは、「ヴィラフォンテーヌプレミア羽田空港」内の、日帰りでも利用できる温泉へと誘導する流れでしょうか。

密かに気になっていたのは、展望露天温泉施設「泉天空の湯」。ただ、スパ好きとしてもこの施設の利用料、大人4800円、というのはかなり勇気のいる価格帯です。妄想半分、富裕層の海外旅行客の気分になって、円安だから安いかもしれないと思って利用してみることに。フェイスタオル・バスタオル、館内着、岩盤浴付きなのはありがたいです。最近よく行くスパラクーアの利用料金も高くなったので(入館料3230円、ヒーリングバーデ880円、さらに休日割増料金など)、価格帯的には同じ位かもしれません。

利用してみたところ、高めの価格は景色代込みだと思えば納得できる気がしました。岩盤浴エリアの廊下の広い窓からは、飛行機の離発着がよく見えます。暗くなってくると滑走路のライトがきれいです。露天風呂に入った時間がちょうど夕暮れで、日が沈む時間に合わせてたくさんの人が露天風呂でスタンバイ。ちょうど富士山も見えて絶景です。遠くに工場も望めて、工場萌えの要素も。天然温泉で、海外に行く人への妬みの心も少し浄化されました。逆に飛行機に搭乗予定がないので、時間に左右されず、好きなだけ見て回れます。旅行疑似感が堪能できて、海外旅行のお金が浮いた気がしてきました。物価高の今、おすすめ日帰りスポットです。

(イラスト・文:辛酸なめ子)

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 羽田エアポートガーデンで体力温存疑似旅行(辛酸なめ子)