現在発売中のMovieNEX『カーズ/クロスロード』。お子さんのクリスマスプレゼントの候補にしている方や、年末年始、家族で鑑賞予定の方も多いのでは? 主人公マックィーンのカッコ良さや仲間達はもちろん、本作から登場する魅力的なキャラクターも盛りだくさん。大人も楽しめるアメリカの大自然や大興奮のレースシーンも満載です。


この映画がどの様に作られたのか、ピクサー・アニメーション・スタジオにて『カーズ/クロスロード』のクリエイティブディレクターであるジェイ・ウォードさんにお話を聞いてきました!


【関連記事】『カーズ/クロスロード』監督が子供達に伝えたいこと「“自分たちにはなんでもやれる”と信じてもらいたい」

http://getnews.jp/archives/1982842


——まずは『カーズ/クロスロード』でのあなたの役割を教えてください。


ジェイ・ウォード:とても変わった役目なんだ。僕の仕事は、ジョン・ラセターが、僕にその役目を作り出すまで存在しなかった。『カーズ』は今とても大きくなっている。それはテーマパークだったり、ビデオゲームだったり、出版物だったり、おもちゃだったり、僕は『カーズ』のクリエイティブ面全てを見ているんだ。そして、それに加えて、僕は、『カーズ』の世界で、何かについて、「それは良い」とか「それは悪いことだ」という人なんだ。もし僕らが何かを作っていたり、何かに関わっていたら、僕が、「それはクリエイティブ的には、『カーズ』の世界が進む方向として、自分たちがやりたくないことだ」と言ったりする。それから、作品の中で何か自動車が出てくる場合、僕が相談役となって、全てがちゃんと間違いのないものになるようにするんだ。


——『カーズ/クロスロード』にはたくさんのキャラクターたちがいます。どのキャラクターが作り出す上で一番難しかったですか?


ジェイ・ウォード:多分、クルーズだね。なぜなら、彼女は新しいメインのキャラクターなんだ。女性の車対男性の車をやるのは難しい。女性の車に対して施す、あるデザインがある。ウインドシールドにアイライナーがあったり、違うガスケットになっていたり、ボディのシェイプも少し違う。コンピューター上に車のモデルを作るのはとても簡単だ。でも、それを魅力的にしたり、いい外見を持たせたり、年取って見せたり、若く見せたり、そういったことを車で見せるのは難しいんだ。だから、作り出す上で一番難しかったのはクルーズだよ。


——ピクサー作品には毎回新しいチャレンジがあります。今回は、技術的に泥を作り出すことがそうでした。


ジェイ・ウォード:間違いなくね。


——何か他に、今回、あなたたちが直面したチャレンジはありましたか?


ジェイ・ウォード:この作品には、『カーズ2』と比べて、全く違う雰囲気がある。『カーズ2』より現実的で、ザラザラした雰囲気なんだ。たとえばマックィーンが最初に事故を起こす時、火花が飛び散ったり、煙が出たり、空がちょっと曇っていたりする。それぞれのショットで、カメラの置き方とか、照明や、色の暖かみについて、これまでと違うように考えることが必要だったんだ。


——クリエイティブ・ディレクターとして、どんなところに苦労されましたか?


ジェイ・ウォード:この作品の中で最大のチャレンジはいつも、新しいストーリーを語ることだよ。人々は、一作目の『カーズ』がとても大好きなんだ。二作目の『カーズ2』は、違った形で大好きだったけど、多くの人たちは、『カーズ2』では、ピクサー作品の感情的な部分がないことを寂しく感じていた。キャラクターたちと感情面で繋がりがないことをね。僕らは『カーズ/クロスロード』で、その感情がちゃんと戻った作品になるように気を配ったんだ。「この作品はマックィーンのストーリーになっていないといけない。そこに多くの心情や感情がないといけない。それは、ヒーローが旅をすることについてじゃないといけない」と思った。だから、この作品をそういったものにするために、僕らは一生懸命挑戦したんだ。


——アニメーションにとって、子供達は観客として大きな部分を占めています。シーンをやっていて、子供達のために何かをするといったことはあるのでしょうか?例えば、「この車をだしたら、子供達がもっと喜ぶだろう」と考えたりするのでしょうか?


ジェイ・ウォード:そういうことはしない。もし作品を作っていて、「僕らは、5歳とか6歳の子供達が気にいるような作品を作る」と言ったら、観客は5歳か6歳だけになってしまう。大人は、「それは小さな子供のものだ。こういった作品は好きじゃない」と言うよ。すべてのピクサー作品が成功している理由は、僕らは作品を子供達のために作っていないからなんだ。僕らはみんなに向けて作っている。だから、子供達はそれらを喜んで、笑っているんだ。でも、大人もまた、「この瞬間が大好きだ」となる。だから、もしそれをとてもうまくやれたら、それは子供の作品じゃない。それはすべての人がわかる作品で、それがたまたまアニメーションなんだ。だから、子供達は確かに『カーズ』が大好きだ。でも、違う理由で、大人も大好きなんだよ。僕らはそういったことをやろうとするんだ。僕らは、何か子供に向けたものは決して作らない。


——『カーズ/クロスロード』は、素晴らしいファミリー作品です。日本のパパやママに、どのようにこの作品をすすめますか?


ジェイ・ウォード:親たちがこの作品のどんな点を気に入るかというと、年配の人たちを尊敬したり、彼らに感謝したりすることについて、この作品がかなり多くのことを語っている点だよ。自分の前にいた人たちについてね。マックィーンは、ドック・ハドソンとの師弟関係を必要としていたけど、ドックは亡くなってしまう。だから、彼はある意味、ドックを探す旅をしているんだ。この先どうするかを決める手助けしてもらうために、自分の先生となる人を必要としているんだよ。

そこには教訓となるものがある。日本の文化は、自分の祖先や家族にとても感謝するものだ。僕らは、自分のたちの家族がやってきたことを重んじるんだ。マックィーンは、この作品の中で、ドックの存在を通してそのことに気づくんだ。


——子供達はいかがですか?彼らにとって、(この作品の)どんな点が魅力だと思いますか?


ジェイ・ウォード:彼らが『カーズ』について好きなすべてのことだよ。マックィーンが戻ってきたんだ。彼らが大好きな赤いレースカーがね。メーターはおかしいジョークを言うし、馬鹿げた行動もする。でも、すべてが『カーズ』の世界なんだ。大人も子供も大好きだと思う。キャラクターたちは感情移入出来て、彼らを知っているように感じる。自分の家族とか友人のように感じるんだ。ジョン・ラセターが、『カーズ』で作り出したキャラクターはすべて良いキャラクターで、彼らのことをもっと知りたいと思う。そして、この作品でまたそういったことを味わうんだ。



【ストーリー】

天才レーサーで最強のチャンピオン、ライトニング・マックィーン。しかし、ベテラン・レーサーの彼を待ち受けていたのは、ハイテクを使った次世代レーサー、ジャクソン・ストーム。そして、ストームとのバトルで焦ったマックィーンは、レースで大事故を起こしてしまう……。マックィーンは再びレースに出るために、新たな仲間のクルーズ・ラミレスと、最新のトレーニング・マシンで鍛え始める。果たしてマックィーンは、再びレースに戻れるのか?


http://www.disney.co.jp/movie/cars-crossroad.html [リンク]


―― 会いたい人に会いに行こう、見たいものを見に行こう『ガジェット通信(GetNews)』
情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「ピクサー作品が成功している理由は作品を子供達のためだけに作っていないから」クリエイティブ・ディレクターが語る