2017年3月29日に秋葉原コンベンションホールにて開催された、「Tokyo VR Startups Demo Day」に参加してきました。


今回は、その模様をレポートしたいと思います。


Tokyo VR Startupsの今後とグローバルネットワークの取り組みについて



まずはメディア向けの囲み取材で、株式会社gumi代表取締役の國光宏尚さんから「Tokyo VR Startupsの今後とグローバルネットワークの取り組みについて」お話しいただきました。


Tokyo VR Startupsの取り組み



一昨年の後半あたりから始めたVRへの取り組みですが、今まではVR/ARの産業自体を立ち上げる為に、日本「Tokyo VR Startups」「TOKYO VR MEETUP」韓国「Seoul VR Startups」ヨーロッパ「EUVR」との提携そしてアメリカでは「VENTURE REALITY FUND」「PRESENCE CAPITAL」といったところの関係性を作り、まだまだ発展途上のVR産業において、世界中のノウハウや成功体験・失敗体験を共有する意味で、グローバルのエコシステム構築を中心に活動を行ってきました。


第1期チームの成果としては、メンターなどのサポートもありつつ、「Tokyo VR Startups」5チーム中4社が資金調達に成功しするという成果を上げました。


第2期に関しては、新しい取り組みを行っていく予定で、



  • 他が行っていないチャレンジングな部分への取り組み。

  • 学術系とスタートアップと距離感を縮めるように、協力体制を築く。

  • 大企業とスタートアップとの関係性を強める。


という所を中心に行っていく予定だそうです。


Nordic VR Startups 2017年6月スタート予定



また、2017年6月には北欧系では一番大きいメディアである、NORDISK FILM EGMONTと共にフィンランドヘルシンキを拠点とした、エンターテインメント関連VR/AR向け、北欧全域をカバーする形の6ヶ月のインキュベーションプログラムである、「Nordic VR Startups」がスタート予定です。


北欧では「Clash of Clans」(クラッシュオブクラン)のSupercellや「Angry Birds」(アングリーバード)のRovioといった、エンターテインメントや、ゲームに強い良い会社がたくさんあるのでその辺りの新規開拓への期待も込めているそうです。


フィンランド・北欧は政府系の協力も強く、またフィンランド最大のVRコミュニティであるFIVR(Finnish Virtual Reality Association)とも連携していくそうです。


Tokyo VR Startups第3期募集開始!



日本のVRシーンにますますの盛り上がりを見せるべく、Tokyo VR Startups第3期の募集が開始されます!


応募締め切り:2017年5月14日(日)23:59

プログラム期間:2017年6月〜11月

開発資金提供:500万〜1000万


期間中は開発サポートとして、メンタリングサポート、オフィススペース無償提供、バックオフィスサポート、機材レンタル・割引購入などが受けられるので、プログラムの詳細・応募はTokyo VR Startups公式サイトまで。


質疑応答


Q.地域ごとに、VRに対する熱狂度の差などはありますか?


A.熱狂度の差というよりは、熱狂し始めた時期が違うといった感じで、その点で考えるとアメリカ、日本、ヨーロッパ、韓国という順番になります。日本は結構早い段階から、VR熱が上がっていて草の根の魂が強く、ユニークな発想の会社が多です。


Q.日本ではまだエンタテインメント系としてのVR利用イメージが強いかと思いますが、他の地域でも同じでしょうか?


A.企業が1からVRのコンテンツを作成しようとすると、やはりコストがかかるので、VRを作りやすくするコンテンツクリエーション系ツールなどのビジネスは今のところ伸びてきている印象です。また単純作業の効率化のための利用、医療用での利用も全体的に伸びています。


Q.VRのマネタイズ手法はどうなっていきますか?


A.ゲームでいうと、2016年Steam上で1億円以上売れたゲーム(売り切り)が合計で8本出ています。これはHTCVIVEの販売台数が40万台考えればポジティブな印象で、将来VR端末が1億台以上売れているwiiやPSなどに置き換わった時に、売り切り価格でも、VRゲームが100億以上売り上げる事もありえるかもしれません。アジア地域ではロケーションベース(ゲームセンター型)が主流で、韓国や中国ではカラオケボックスのような時間貸しスタイルを採用し、日本より先行しつつあります。欧米系では家庭用ゲームをミニマムな形で安くリリースして、その後に追加パッケージを3ヶ月ごとくらいのペースでリリースしていくのが主流になってきています。


Immersv Eric Chung氏によるプレゼン



続いてImmersv社のEric Chung氏によるプレゼンです。


VR広告プラットフォームとは


Immersv社ではVR広告プラットフォームを提供しており、プレイ中のVRゲーム内に15秒もしくは30秒のVR広告(3D、2D両対応)を入れる方式で、広告を見終わった後にすぐにダウンロードするボタン、あとでダウンロードボタンの2つのボタンを搭載し、前者はクリックすると、アプリであればストアのダウンロード移動、後者の場合は後から端末に通知が来るという形式です。


もちろんアプリを持っていないパブリッシャーの場合は、WEBサイトへ誘導することも可能です。


7割が広告を最後まで視聴!



現在のVRユーザーは、コンテンツへの興味が強く、広告でも最後まで視聴する傾向があるため、ハワイの旅行アプリの事例では、70%のユーザーが最後まで動画を視聴し、全体の30%が実際に表示されたアプリのダウンロードまで至っており、これは今までのスマホ等の広告に比べると明らかに高い効果を得ることができます。


ステージセッション


続いてステージセッションの様子を順番にご紹介します。



まずは開会&代表挨拶ということで、株式会社gumi代表取締役の國光宏尚さんからご挨拶。






続いてTokyo VR Starts第1期にて、資金調達を成功させた、よむネコの新さんと、桜花一門高橋さんが、それぞれ自社のゲームについての紹介です。


よむネコさんのVRゲーム「Enigma Sphere」は現在梅田ジョイポリスにて好評稼働中で、3/31には最新バージョンの「Enigma Sphere :Enhanced Edition」がリリース予定です。


高橋さんは、PlaystationVR向けに開発中のVRホラーゲーム「ChainMan」を紹介。


こちらのゲームにはローカルマルチプレイを搭載しているので、気軽に友人を呼んでホラーの世界を楽しむことができそうです。


私も実際に体験してみましたが、暗闇の中を進んでいくのはとても怖い、製品版がとても楽しみです。



続いてInstaVRの芳賀さんからInstaVRの紹介。素材さえあれば、誰でも簡単にブラウザベースで、VRコンテンツを作成することが出来ることが魅力です。







Seoul VR StartupsからはAtoJet, Hongbin Network, Rooftopの3社がプレゼンを行いました。


Rooftop社はVR専用の椅子を紹介、制限されたルームスケール内でも、椅子の下に搭載されているセンサーで、ゲーム内を動き回ることが出来る。Hongbin Network社はロケーションベースのVRソフトウェアとハードウェアを紹介。ハードウェアにゲームをバンドルしたひとつのパッケージとして販売を行う予定だそうです。AtoJet社は誰でも簡単にVRコンテンツのアプリ、WEBサービスを作成できるツールです。宿泊関係や不動産関係に新しいマーケティングを実現することができます。



TheVRFund投資先企業ピッチとして、ImmersvのEric Chung氏からVR広告プラットフォームについての説明。7割のユーザーが最後まで広告を表示したという事実は、VR広告の可能性を感じます。



COVERの谷郷さんからはVRライブ配信サービスのご紹介です。リアルタイムに動く演者さんや声優さんを体験出来るサービスでVRやAR用のデバイスを持っていなくても、PCやスマホから閲覧できるのがポイントです。



GATARIの竹下さんからはVRコミュニケーションツールの紹介です。音声による操作入力にこだわったコミュニケーションツールは、音声をテキスト変換し翻訳することで、自分が喋ることができない言語でもコミュニケーションを取ることができます。



HoloEyesの谷口さんからはCT画像をベースにした、3DVRサービスの紹介です。3Dで体内の地図を作り、今まで言語化できなかった手の動きや、視線の動きなどを再現することができるので、事前のシュミレーションや共有等に利用することができます。



JollyGoodの上路さんからは、TVとVRをかけ合わせたサービスのご紹介。地域産業体験VRコンテンツ等を作成している。


デモブース紹介


最後にデモブースのご紹介です。








COVER:Tokyo VR Starts第2期参加企業COVER VRライブ配信ツールとオンライン対戦ゲームの展示。


GATARI:TVS第2期参加企業GATRIVRコミュニケーションツールの展示。


HoloEyes:TVS第2期参加企業HoloEyesCT画像等を軸にした3DVR医療向けのサービス展示。


JollyGood:TVS第2期特別参加企業のJollyGood「地域産業体験VR」の展示。


InstaVR:TVS第1期参加企業で世界10,000社以上に導入されている、VRアプリ作成ツール「InstaVR」の展示。


Immersv:The Venture Reality Fund投資企業VR広告ネットワークのデモを展示。


Atojet:Seoul VR Startsup 第1期参加企業VRアプリ及びウェブを容易に制作できるツールを紹介。


Hongbin Network:SVS第1期参加企業室内VRゲームセンター事業と体験型VRアトラクションを紹介。


Rooftop:SVS第1期参加企業VRの装備とインタラクションできるVR専用椅子の紹介。


ouka-ichi-mon(桜花一門):TVS第1期参加企業PlaystationVR向けに開発中のVRホラーゲーム「ChainMan」の展示。


Yomuneco(よむネコ):TVS第1期参加企業HTCVive向けVR脱出ゲーム「Enigma Sphere :Enhanced Edition」の展示。


ということで今回は、Tokyo VR Startups Demo Dayのレポートでした。





Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.

情報提供元: VR Inside
記事名:「 日本のVR市場を加速させる!3月29日開催「Tokyo VR Startups Demo Day」イベントレポート