Stereo Shading Reprojectionを使ってレンダリング


Oculus RiftのようなハイエンドVRヘッドセットで再生する高解像度のVR映像をレンダリングするためには、強力なGPUを搭載したゲーミングPCが必要だ。


VR対応PCの価格はハイエンドヘッドセットの普及を妨げる大きな要因の一つとして指摘されており、OculusはGPUの負荷を軽減する新技術の研究を続けている。


今回Oculusが発表した新技術ステレオシェーディングリプロジェクション(Stereo Shaging Reprojection)を使えば、レンダリング時のGPU使用を最大20%抑えることが可能だという。


Oculusの技術開発


Oculus Touchに付属する『First Contact』


VR Ready PC


スマートフォンのプロセッサとディスプレイを使用するモバイルVRヘッドセットの場合、各ヘッドセットが対応機種として発表しているモデルを使えば快適なVR体験が可能だ。


しかし、PCベースのVRヘッドセットではスマートフォンに比べて少々複雑になる。


Oculus RiftのようなVRヘッドセットにはそのデバイスを使用することができるPCのスペックが設定されており、その条件を満たす既存のマシンを探すか、あるいは条件に合うパーツを組み合わせなければならない。


パソコンに詳しくないならば有名なメーカーがVR Ready/VR対応として売り出しているモデルを選ぶのが安心だが、そうしたモデルは高性能と引き換えに価格も高くなってしまう。


もしヘッドセットの動作に必要なスペックを抑えることができれば、VR対応PCの価格も低くなる。


消費者がVRヘッドセットを購入しやすくなり、ユーザにとってもメーカーにとっても、お互いの利益となるのだ。


Asynchronous Spacewarp


Oculusが昨年11月に発表した技術がAsynchronous Spacewarpだ。


Oculus Touchの使い方を学べるコンテンツ『First Contact』とともに発表されたこの技術により、VR対応PCの基準を引き下げることができた。


当時VR対応PCのグラフィックカードは最低でもNvidia GTX 970またはAMD Radeon 290が要求されていたが、NvidiaのGTX 900シリーズまたは1000シリーズの各グラフィックカードやAMD RX 400でもOculus Riftを使うことが可能になった。


Oculus Riftは本来90fpsで動作する。秒間90フレームの映像を使い、1秒間に90回も画面を書き換えることで滑らかな映像を実現しているのだ。一般的にアニメや映画は24fps、テレビは30fps、PC用ディスプレイは60fpsと聞けば必要なフレームの多さが分かるだろう。


しかし、Asynchronous Spacewarp技術があれば秒間45フレームしかレンダリングできないPCでもRiftを使うことが可能になる。


間に入るはずの映像をソフトウェア側で補うことで、ユーザにコマ落ちを感じさせない滑らかな映像が作られる。


Stereo Shading Reprojection


Stereo Shading Reprojectionにより、オブジェクトの端が補正される(緑色部分)


新技術の役割


Oculusが新たに開発したStereo Shading Reprojection(SSR)技術も、Asynchronous Spacewarp技術と同様にGPUの負荷を軽減してくれるものだ。


GPU負荷が軽減されることで、現在最低要件とされているGPUよりも処理能力の低いGPUで現在と同レベルのVR映像が実現する。


また、既にVR映像のレンダリングが可能なGPUを使っている場合にも恩恵はある。


GPU使用量を抑えられれば発熱や消費電力も少なくなる。余力を他の部分に回すことで、現在よりも高品質な映像のレンダリングが可能になるかもしれない。


SSRの仕組み


VR映像では、左右の目に少しだけ異なる映像を見せることで立体感を作り出している。これは人間の左右の目が少しだけ離れていることを利用したものだ。


それぞれの目から見える映像は角度が変わるので全く同じではないが、それほど大きな違いはない。


映像内の同じ部分を2度レンダリングするのは無駄なので、似ている部分を推測することでレンダリング処理を減らす、というのがSSRの基本である。


Oculusのデベロッパーブログでは、この処理についてさらに詳しい解説が行われている。


SSRの効果


GPUの使用量が抑えられている


OculusはNvidia GTX 970を使用した環境でテストを行い、GPU使用率のグラフを公開している。


SSR技術を使うことでGPU使用量を最大で20%削減でき、特にダイナミックライト効果があるようなシーンでは効果的だという。


映像の内容によってはSSR併用できない他のレンダリング技術を使った方が良い場面もあるが、適切な状況で活用すればVR対応PCのハードルを下げてくれることが期待できる技術だ。


 


現在は新技術が発表されただけの段階だが、すぐにこの技術をデモンストレーションするためのサンプルコードがリリースされる予定だという。


 


参照元サイト名:Road To VR

URL:https://www.roadtovr.com/oculus-new-stereo-shading-reprojection-brings-big-performance-gains-certain-vr-scenes/


参照元サイト名:Oculus Developer Blog

URL:https://developer.oculus.com/blog/introducing-stereo-shading-reprojection-for-unity


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 Oculusの新技術がVRのパフォーマンスを改善