一部メディアと所属記者が「失敗」と報道したことでも話題となった、先日(2月17日)の「H3ロケット」打ち上げ中止ニュース。

 それに対し、「世間が騒ぎすぎですよね。もっと気楽でいいんじゃないかと思います」と振り返ったのは、伊豆大島に住むTwitterユーザーの伊藤さん。

 イメージ先行型のセンセーショナルな報道姿勢に、「JAXAはこれくらいの熱量で良いんじゃないかと思う」と、カウンター的に描いたイラストに共感が集まっています。

 伊藤さんがTwitterに投稿したイラストでは、噴射口から煙をあげ打ち上げの瞬間をイメージした「ロケット」が描写。その下には「配送遅延のお知らせ」という“タイトル”に、詳細があわせて記されているようです。

「弊社新規機材(H3)の不具合により、お荷物(ALOS-3)の配達に遅延が発生している地域(太陽同期準回帰軌道)がございます。お客様にはご不便・ご迷惑をお掛け致しますが、何とぞご了承いただきますようお願い申し上げます」(原文ママ)

 「もちろん国家の威信と多くのお金がかかっている事業ですが、『遅延』というのは試作機にはよくあることで、今回は『ロケット』『衛星』『射点』いずれの破壊も起きていません」

 伊藤さんのイラストのように打ち上げを「配送」と見立てれば、本件は「エンジントラブル(補助の固体ロケットブースターに未着火)」で到着が遅れたというものです。

 私たちが日々の生活で都度お世話になる「宅配サービス」で考えると、本稿を執筆している2月だと「雪」、台風シーズンだと「雨」、他には「地震」などで配送に支障が出ることはザラにあります。確かにスケールは桁違いですが、起きていること自体にそう大きな違いはありません。

 今回描いたイラストは、実際にとある日に雪で商品の配達遅延が起きた際、とあるサイトのデザインを見て着想を得たものだったという伊藤さん。

 「正直なところ、『散々遅れた計画がまた少し遅れただけだよね』という気持ちです。『このくらいの気軽さだよね』との想いで描きました」

 我々メディアの人間は、時に自分の考えを押し付けるかのごとく報道をする悪癖があります。

 ある「事実」に対し、どのように「真実」として報じるか。そして「現実」はどうなのか。それを常日頃から意識して伝えるのは、報道関係者として決して欠くことのならない責務です。

<記事化協力>
いとーT伊藤さん(@itoht2

(向山純平)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 「事実」の正しい使い方 「H3ロケット打ち上げ延期」を描いたイラストが伝える「真実」