プラモデルを組み立てる際に余る端材の「ランナー」。

 多くの場合はそのまま廃棄に至りますが、近年はリサイクルプロジェクトが発足したり、それを使ったものづくりなど、様々な活用法が見出されてきています。

 そんな中で、Twitterユーザーのネコアシさんは、自身が普段よりモデリングを行っているガールズプラモデル(ガルプラ)の「30MS」こと30 MINUTES SISTERSにて、新たな可能性を発見しました。

 「カマボコみたいな形したランナーが歯にピッタリだったということを報告致します」

 この日作業風景をTwitterに投稿したネコアシさん。どうやら顔部分の組み立てを写したものですが、口元に白い突起らしきものが見えます。

 こんな部分にまでパーツがあるのかと感心してしまいますが、実はこれは“正規品”ではなく、キットについている端材のランナー。30MSにおいて長らく悩まされている「問題」に対し、ネコアシさんが考案した「改善策」でした。

 「30MSシリーズには専用の別売りフェイスパーツが存在しますが、長らく入手難の状況が続いているんです。なので、キャラごとの表情に物足りなさを感じていました」

 元々小学生の時に「ミニ四駆」に触れたことがきっかけで、ガンプラなどのプラモデルを楽しんでいたというネコアシさん。2年ほど前に再び趣味で模活に勤しむようになりました。

 自己流にミキシングビルド(複数の部品で1つのパーツを組み上げる手法)をやってみたり、キャラクターモデルをセミスクラッチ(既存品をある程度使用して組み上げる手法)で試したりと、本格的なモデラー活動を行う中で「30MS」に知り合ったのは去年(2022年)6月。最近になって、流通が改善されるようになったという本体キットを偶然手にしたことがきっかけでした。

 実際に組み上げてみて、Twitter上で開催されたユーザーイベントにも参加し、気づけば「沼」の住人になっていたネコアシさん。ただ上述の問題で、様々なシチュエーションを表現することに難しさを感じていました。

 しかし、それでただ指をくわえているわけではなく、多くのモデラーの矜持でもある「無ければ作ればいい」の精神で模索した結果が「ランナー」。今回の投稿は、表情パーツの開口加工を行っている際のものです。

 「初めての試みでしたが、ちょうどいい感じにランナーを歯として使えたので、思いがけず自然な出来となりました」

 そこへちょっとした遊び心を加えた結果が「八重歯」。ネコアシさんはこれまでにもランナーを駆使し、「てへぺろ顔」「泣き顔」といった表情を作り出すことにも成功しています。

 これらを擁して、30MSの販売元であるバンダイが開催する「30MS SISTERS7 選抜オーディション」に臨むというネコアシさん。なお、ランナーを用いたアレンジは、レギュレーションに抵触しないことを事務局に確認済みだそうです。

 ちなみに、当該オーディションの応募期間は2023年2月26日まで。まだ一定の時間を有しており、このタイミングで自身の手の内を明かすことにためらいはなかったんでしょうか。

 「『30MS』の親シリーズでもある『30 MINUTE MISSIONS』では、『ユーザーたちが見つけたカスタマイズアイデアをTwitter上で共有する』という素晴らしい文化があります。なので、他のユーザーさんにもぜひ活用してもらえればいいと思いツイートもしています」

<記事化協力>
ネコアシさん(@nekoashikombu)

(向山純平)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 入手難に負けない! ランナーで「30MS」に表情を付与したガルプラモデラー