紀文(きぶん)の公式Twitterで12月に、明日使える練り物雑学として「あし」が紹介されました。これは「練りものの弾力を表現するかまぼこ業界用語」。

 うどんや蕎麦などで使用される「こし」と同じような意味で「あし」という言葉があるのだとか。紀文に取材して担当者に話をうかがいました。

 食品に「あし」という言葉を使用する時は「あしが早い」など、あまり良い意味で使われない印象があります。しかし、ツイートによると、魚肉に塩を加えて加熱することで生まれる「しなやかな弾力」のことを「あし」と表現するそうです。「あし」の要素には「硬さ」「強さ」「歯切れ」「喉ごし」「きめの細かさ」などがあるといいます。

 ちなみにツイート後に、担当者が「最初聞いたときに浮かんだ光景」として、かまぼこに人間の足を付けたイラストも投稿。記者も今回の雑学を初めて聞いた時は、まったく同じ想像をしてしまいました。考えることは、みんな同じようです。

 かまぼこ業界で使われるようになった時期について、「明確な時期や言葉の由来は不明」と語る紀文の担当者。業界内では、練り製品の弾力を示す言葉として「あし」が広く使用されており、「蕎麦でいう『こし』と同様の使われ方」だそうです。

 「あし」という表現は紀文の社内でも一般的で、すでに退職されているOBの方も「若手の頃から聞いている」そうなので、「かなり前から練り製品業界では使われているものと考えております」と担当者。一般人には馴染みのない言葉が、かまぼこ業界では相当古くから使われていたんですね。普段の生活で使用してみたら、一目置かれた存在になれるかも?

 なお、紀文では「あし」のしなやかな弾力を物性測定機器で計測して数値化。商品の開発や研究のために役立てているそうです。

 紀文の公式ホームページの「研究開発」のコーナーでは、製品の弾力を物性測定機器で計測している写真の他にも、温度と粘度の関係を測定しているところや、紀文の研究員が撮影に成功した「蒲鉾の網の目構造」の写真も見ることができます。興味がある人はのぞいてみるのも良いかもしれません。

 今回の明日使える練り物雑学の投稿には、「初めて知りました!」「早速家族に雑学を自慢」「勉強になりました」など多くのコメントが寄せられています。中には「あし」が資本のマラソンランナーに、かまぼこを贈りたいという人もいました。かまぼこ業界だけでなく、他の業界にも今回のような面白い業界用語は必ずあるもの。「あし」のような言葉をもっと知りたくなります。

<記事化協力>
紀文【公式】Twitter(@kibun_kitchen)

(佐藤圭亮)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 練り物雑学を紀文が紹介 かまぼこの「あし」とは?